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September 07, 2012

欧州はなぜ行き詰ったのか(3)

Uid000004_200902181554336b035f2c現在のEUの面積は450万平方キロと中国1ヶ国の半分弱ですが、そこに27ヶ国がひしめいています。

ヨーロッパを二度、鉄道旅行しましたが非常に楽しいです。
僅かな距離を移動するだけで民族や宗教の違いによる文化のバリエーションが感じられ、一定の旅行インフラが整備されています。

一方歴史的には、その「ひしめき合い」が国境紛争や植民地競争を生み、スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリスなどが覇権のバトンを引き継いで来ました。

帝国主義の時代はインターネットがないだけに、直接ヒトとモノがグローバルに行き交う、ある意味で今以上に露骨なルール無き自由競争の時代だったとも想像されます。

大英帝国を築いたイギリスも、パレスチナにおける二枚舌に代表されるように、情報戦と策略を駆使して仁義なき戦いを勝ち抜いたからこそ、今の地位があります。

新大陸の発見は、バトルロワイアルの檻の中に巨大な「金脈」が放り込まれたようなもの。
その資源をいかに収奪し、分配するかが覇権レースの帰趨を左右しました。

この争奪戦は、地元に生まれたアメリカ合衆国がイギリスから独立することで決着。
20世紀に欧州から覇権が移動する決定的な要因となりました。

激しい競争と新大陸の恩恵という二つの要素が欧州を世界に君臨させて来ましたが、今や実力以上の支出で遺産を食い潰し、律儀に工業生産力を維持してきたドイツが経常黒字をほぼ独占。

ユーロ導入は、いわば「離婚できない結婚」。
不倫が表に出たからといって、すぐに別れませんし、別れられません。

ドイツとギリシャの関係は仮面夫婦のようなものだったでしょうが、今後もあらゆる妥協を重ねながら、決定的な破局を避ける取り組みが長々と続くと思います。

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