ソフトバンクがスプリント・ネクステルを買収
スプリントの業績ですが、売り上げはこの3年間ほぼ横ばい。
最終利益は赤字続きですが、営業利益には改善の傾向が見て取れます。
但し、キャッシュフロー表を見ると投資不足が明らか。
例えばATTは、直近3年間で、ほぼ減価償却額と同額を新規に投資していますが、スプリントは約12000M$(約1兆円)の投資不足。
財務CFに目立った動きはなく、投資を抑制して資金繰りをつけている姿が読み取れます。
バランスシートですが、純資産は11427M$(約9000億円)。
現状レベルの最終赤字が続くなら、3~4年で債務超過に陥ってしまいます。
但し、SBのIR資料にもあるように、様々な問題点が良くなる方向にあることも事実のようです。
この資料では、純有利子負債/EBITDAが頻繁に使われていますが、これはSBがスプリントを抱え込む体力がありますよ、という説明です。
スプリントの買収価格の水準について、伝統的なEV/EBITDA手法によって、SBが評価した株価7.3$をベースに計算してみると、およそ7.4倍でした。
簡単に言うと、4000億円弱のキャッシュフロー(営業利益+減価償却費)のある会社を2兆9000億円くらいで評価したということです。
EV/EBITDAも、あくまで参考に過ぎませんが、教科書的には4~8倍とか、6~7倍とか言われています。
一方SBですが、大雑把に言うと、本業で6000億円以上稼ぎ、1000億円くらいは利払いに消え、2000億円税金を払い、400億円強配当し、3000億円くらい投資している会社。
1兆5千億円借りても、(孫さんは1%台で調達と言っていますから)年間利払い増加額は300億円未満と推定され、金利負担自体は大したことはありません。
スプリントの経営再建の可能性は、これからの経営の問題でもあり、未知数。
全体として、規模はともかく、過度に足下を見られたという感じはしませんので、今後の期待も込めて本件インパクトがニュートラルとまで評価が戻れば、株価3000円カムバックも現実的です。
果敢なチャレンジ精神を評価するか。
ここでチャレンジするのは筋違いと思うか。
今はそのせめぎ合いが進行中といったところでしょうか。
すぐにシナジーが浮かばないので、若干筋違いのギャンブルでは、という思いを禁じ得ませんが、まあ打って出るという姿勢が孫さんの持ち味ですし、かつてSB株では多少なりとも儲けさせて貰ったので、心情的には応援します。
評価しないなら株は売れば良いし、SBMユーザーはauかドコモに移る選択肢がある。
今、海外に投資する、という方向性は正しいはずです。
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