南ア「ランド」が急落

ランドはこの1週間、対ドルで5％以上も急落しました。

ランド円の長期チャートを見ると、昨年の秋や今年の「Sell in May」と並ぶ安値まで急速に売られています。

背景にあるのは相次ぐ労働者のストによる社会不安だと思われます。

プラチナ鉱山ロンミンのストは、先月18日に22％の賃上げで終結したものの、同じくプラチナ生産大手のアムプラッツは、同社の鉱山で３週間前からストライキを行っていた従業員を１万２０００人も大量解雇したとされ、混乱が心配されます。

ストの勢いは鉱山のみならず他産業にも広がり、トヨタのダーバン工場は先週3日間のストの結果、10月4日に6％の賃上げで妥結。

トラック運転手たちも、12％の賃金上昇を求めてスト中と報道されています。

現在の与党は、かつてマンデラが率いたアフリカ民族会議（ＡＮＣ）。

マンデラ、ムベキ、現在のズマと3人の大統領を出してきましたが、広がる格差やインフラ不足、エイズ問題などに十分な対応をしてきたとは言えず、欧州を中心に世界景気が後退する中で、生活に苦しい炭鉱労働者を中心に燻っていた不満が顕在化したことは懸念されます。