Kindle本は消費税分安い(2) ~国家と税~
今月中旬、フランス当局がアマゾンに対して2.5億ユーロを追徴したと発表されました。
アマゾンはヨーロッパでの売上を法人税の安いルクセンブルグで申告しているようです。
アマゾンの「税」に対する挑戦的な態度は、狭義では日本の電子書籍販売事業への脅威ですし、広義にはグローバル企業に対する国家の徴税権が一体どこまで有効に機能するかという大きな問題にも発展します。
日本の法人税に関して、アマゾンジャパンは本社の委託を受けているだけで、売主は米国法人。
即ち、我々利用者は「輸入」して買っている(?)といった理屈で課税を免れているようです。
wikiの記載によれば、下記の通り。
2009年7月に東京国税局はアマゾンの流通センター内に米国法人の機能の一部が置かれており、これが法人税法および日米租税条約に規定する恒久的施設であるとして、2003年から2005年について140億円の追徴課税を行った。これに対してAmazon.com側は1億2000万ドルを銀行に供託した。その後日米当局間で協議が行われていたが、2010年6月に暫定的合意に達し、2010年9月に最終合意に至った。日本の国税庁の主張は退けられ、国税庁は銀行供託金の大部分を解放した。(引用終)
日本に法人税を払えば米国納税分が減りますよ、と言えば米国当局を味方に付けることが出来る。
この戦術が大いに成功したということかと思われます。
消費税に関しては、さすがに市川等の物流センターを通じて現物商品が動いているので、課税対象外という屁理屈は取れず、アマゾンのサイトでも、
消費税は、お届け先が日本国内の場合に課税されます。Amazon.co.jp ではお客様にご注文いただいた各商品、サービスに対し、5%の消費税を課税しております。
と記載しています。
しかし、これも曲者。
文中「課税」という表現は、英語の「collect」を和訳しただけとも言えますが、徴収するけど納付するとは言っていない、というニュアンスを込めたとも解されます。
アマゾンジャパンの売上は本社からの委託料だけ(多分)だとすると、経費を賄えるだけの金額を日本に送り、結果として「支払消費税>受取消費税」の状態を作り、消費税の還付を受けている可能性も高いと推測されます。
もしもアマゾンジャパンが「益税」を享受し、それに対する法人税をも完全に免れているとしたら、消費税を課税するとした日本の国税当局の見解は、皮肉な結果を招いているのかもしれません。
物販が日本で法人税非課税となるなら、配信するサーバーを日本に置かない電子書籍は更に課税困難。
無修正のアダルトビデオ配信業者もサーバーをアメリカやオランダなどに置いて刑法と税法を免れていますが、実務部隊は日本にいる組織もあると聞いています。
では、既存の電子書籍販売業者もサーバーだけ海外に置けば、消費税や所得税が課税されないのか。
それとも当局得意の「実態課税論」で国内業者を虐めに来るのか。
電子的な販売に対する課税問題は、今後大きな論争になりそうです。
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