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December 04, 2012

日米韓の政治状況

韓国の大統領選挙は12月19日で、日本の衆院選の3日後。
これで、日米韓が揃って新政治体制となります。

韓国では、当初有力視されていた学者・実業家の安哲秀が辞退。
朴正煕元大統領長女の与党・セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)、弁護士・市民活動家である最大野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)の一騎打ちです。

例えれば、安倍晋三VS菅直人といったところでしょうか。

焦点は経済問題。
財閥企業による富の独占、日本以上の経済格差、ストレスによる高い自殺率など、成長と分配の調和が争点となっています。

伝統的に儒教と中央集権体制が支配的で、頼るのは血縁中心という韓国では、様々な利益集団を通じて薄く広く果実を分配するシステムが弱く、貧者への救いの手が少ないため、結果として労使対立等も激しくなる文化的な宿命が感じられます。

アメリカも、先般の大統領選では国家の分断が強く意識されました。
ティーパーティ運動など極端に右寄りになる共和党と、移民中心に支持層が偏っていく民主党を隔てる溝は、政府の大きさを問う本来の主義主張ではなく貧富の差で深まり、オバマに熱狂した4年前より深刻になった印象です。

韓国にはアメリカのような人種的な偏見や差別は少ないものの、出身地や家柄といった階級的な差別感は根強く残り、両国とも深まる亀裂に悩むという背景の前で、「踏み絵」的な選択となっています。

一方、あと2週間に迫った日本の衆院選の論点は、不明瞭です。

原発問題を争点化しようという動きはあるものの、「出来れば無い方が良いが、現実的には難しいので、代替エネルギーが増やせる範囲で長期的には減らして..」という意味では全員一致みたいなもの。

そもそもエネルギーのポートフォリオ選択は、基本的には経済問題。
無理やり政治問題化しようとする勢力の意図は、成功しないだろうと思って見ています。

TPPへの交渉参加や外交・安全保障面でも、国家を二分するほどの違いは無く、東アジア共同体構想などという世迷い言は本人ごと消滅しました。

政党と政策はゴチャゴチャ状態なので、官僚との適度な距離感を踏まえつつ実務的な判断能力を持っていると思われる候補を選ぶことになりそうです。

米韓が深まる経済的分断への対応に苦慮しているのに比べると、そもそも生活保護給付が最低賃金より高いなど、実態が社会主義的である日本の争点は、小沢一郎を巡る混乱に代表されるように、要は「好き嫌い」「人間関係」が中心なのかもしれません。

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