全てがデフレでもない
新生銀行の調査によれば、サラリーマンの昼食代の平均は510円。2001年は710円だったと出ています。
これは物価下落なのか節約なのか(両方か?)微妙ですが、低価格商品の選択肢が増えているのは事実。
ちなみに更に10年前の1990年だと、1000円くらいだったと思われます。
家電を代表するテレビは、1インチ1万円時代から今や1インチ千円以下になり、パソコンも同性能比較だと劇的に下がっていそうです。
これらに比べて下がった実感がないのは、塾や学費など教育関連費、医療費、弁護士・会計士費用などでしょうか。
10年間私立に通う娘の授業料を払う度、ずっと国公立で教育を受けてきた自分はタダ同然だったと実感します。
政府のCPI統計から幾つか品目を選び、1980年以降の推移をグラフ化してみました。
食料品は年間1%程度しか上がっていないし、家庭用耐久財(家電や家具)は3分の1に下落。
しかしながら、保健医療関係は1.5倍、教育費は2倍になっています。
専門的な人的サービスは高く、コモディティ化した商品は安いのです。
ここには現れませんが、上がるはずなのに上がらないというモノもありそうです。
待ち行列が発生しているのに、価格が規制されている、あるいは供給が制限されているというケースです。
例えば、混合診療等の高度医療、待機児童対策のための民営保育所。
また、介護関連も保険適用という足枷で価格が抑制されているため、現場の人件費が安くて酷使されるというイメージが定着しました。
日本の周辺国は皆インフレですが、何しろ人件費の絶対水準が低いため、競合する分野では日本人の賃金が上がりません。
それをデフレと呼ぶなら、デフレは競争力低下の結果です。
払いたいのに欲しいサービスがない、働いて消費したいのに子供が預けられない、値段を上げたいのに規制されている。
こうした問題は金融政策では解決されないので、一つ一つ丁寧に障害を取り除いていく必要があります。
それが出来なければ、内外価格差によるデフレ圧力ばかりが目立つことになりそうです。
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