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March 20, 2013

キプロスの生きる道(2)

こうしたキプロスの特殊で暗い背景を考えると、今回のような預金税を、他のケースでもドイツが要求するとは思えません。

今週月曜の早朝、オセアニア市場くらいしか開いていない時間帯のユーロ売り。

キプロスの銀行は大量のギリシャ国債を抱えて破綻したので、今回の騒ぎでも、ギリシャへの波及→欧州債務危機の再燃、という連想がまずは働きました。

ユーロ売りに連れて全般にリスクオフの円高になりましたが、ドル円の窓は小さく、すぐに埋まりました。

但し、ユーロ円、ユーロドルについては窓が埋まるどころか、あらためて売り直されているムードがあります。

全体を揺るがすほどのマグニチュードはない。
但し、震源地近くでの余震は警戒、といったところでしょうか。

今後のシナリオとしては、

①キプロスが譲歩してEU支援策を受け入れる。

元々10万ユーロまではEUの預金保険制度があるので、EUは10万ユーロ以下の預金全額保護であれば同意するように思うのですが、総額58億ユーロは簡単には譲らないでしょう。
庶民(?)の預金を守れば、高額預金への”税率”が高くなり、負担の増えるロシアは態度を硬化させることになります。

とはいえ、ロシアもマネロンの後ろめたさもあるはずなので、条件交渉した上で預金課税は受忍するのがキプロスにとって現実的な案だと思いますが、議会は自分たちへの政治的な打撃を最小限にするため、腰が引けています。

今回、EUとの交渉を主導したアナスタシアディス大統領率いる中道右派の野党・民主運動党の議員は、棄権したと伝えられています。

賛成できる法案を作ることが出来ず、責任逃れの行動となりました。

②EUが譲歩して預金課税なしで支援する。

強硬なドイツとしてはあり得ない選択肢だと思われます。
多少の条件交渉には応じるでしょうが、結局それは①に戻ります。

③ロシアがキプロスを救済する。

ロシアのガスプロム社が、キプロスの排他的経済地域にある天然ガス開発権と引き換えに、銀行支援を提案したと報じられています。
ただし、キプロス側が積極的に検討しているというニュースはありません。

ロシアが金を出せば、その対価としてキプロスの権益を要求するのは当然でしょうが、それはEUにとってもキプロスのギリシャ系住民にとっても面白くないので、また議会は荒れるでしょう。

ドイツとしては、援助を渋るとロシアが威張る結果になり、多少ジレンマの部分はありますが、より深刻なのは無論キプロス。

古代ギリシャとエジプト、キリスト教とイスラム圏、米ソ冷戦など微妙なパワーバランスの中で生き抜いてきたキプロスは今、ドイツとロシアの力関係の中で活路を見いだそうとしているのでしょうが、もはや有力なカードは持っていないように見えます。

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