ソフトバンクモバイルがガンホーにTOB
既にガンホー第三位株主のアジアングルーブ合同会社(ガンホー会長孫泰蔵氏が代表)が、SBMの希望する73400株を売却する意向であり、第二位株主のハーティス(孫泰蔵氏の資産管理会社、保有株比率18.5%)も賛同しているので、このTOBは成功確実です。
ガンホーの筆頭株主は、SBの100%子会社ソフトバンクBBで33.7%を既に保有。
今回取得予定の73400株(6.37%)他で、SBが議決権の過半数を支配予定。
要するに、弟の会社が兄の子会社となりますが、既に1/3以上を保有する株主が特定の株主から買い増しをする場合には直接取引が出来ない金商法の規定により、TOB(いわゆる義務的公開買い付け)を採用したものです。
ところで340千円は適正なのか。
これについてSBMのIRでは、
「対象者(ガンホー)株式がJASDAQ市場に上場していることを勘案し、対象者の平成24年12月期の決算発表の翌日である平成25年2月15日から平成25年3月22日までの終値単純平均を参照しつつ、当社及びアジアングルーヴとの間で協議・交渉を行った結果」と記載されています。
確かに2/15には株価は”まだ197万円”(前日は157万円ですが!)でしたし、3/22までの営業日25日間の株価を計算すると平均で340万円です。
また、「当社(SBM)は、当社の最終親会社であるソフトバンクが全ての議決権を所有しているソフトバンクBBが対象者株式387,440株(所有割合:33.63%)を所有することにより、ソフトバンクの持分法適用関連会社として相当程度に把握している対象者の事業に関する情報を踏まえて当社が想定した対象者株式の価値は本公開買付価格以上であると判断したため、当社は本公開買付価格を決定する際に、第三者算定機関による算定書を取得しておりません」ともあります。
わかりにくい表現ですが、本当の価値は340千円より高い、と言っています。
通常、経営陣によるMBOの場合は、安すぎる価格を設定して他の株主に不利益にならないよう第三者の算定書を付けるものですが、本件はSBMのIRなので、SBの株主から高すぎる買い物との批判を受けないよう配慮した表現でしょうか。
一方ガンホーの取締役会は、「ソフトバンクモバイルによる当社株式に対する公開買付けに関して、賛同の意見を表明することを決議いたしました。一方、本公開買付けにおける当社株式の買付け価格の妥当性については意見を留保し、本公開買付けに応募するか否かについては、株主の皆様の判断に委ねることを決議いたしました」と、価格への意見表明を避けています。
ちなみに、取得に要する資金は250億円。
SBは、「ガンホーが当社の連結対象となることに伴い、既存の投資持分についても公正価値による再測定が行われ、その結果、2014年3月期第1四半期の当社連結損益計算書に約1,700億円の利益を計上する見込みです」と発表しているので、評価上の話とはいえ、SBの株価が今日上がったのは自然です。
ガンホーの株価は今日下がっていますが、そもそも大株主同士の取引が市場価格よりディスカウントで決まったという「出来レースTOB」なので、この価格に引きずられる理由はさほどなく、むしろ分割効果も合わせて、明日以降は戻りを試すようにも思われますが、どうでしょうか。
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