ミセス・ワタナベはどれだけ外貨を持っているのか
個人金融資産は1500兆円と言われていますが、その内どれだけが外貨ベースなのか。
棒グラフは、日銀が発表する資産循環統計2012年第4四半期速報版による個人金融資産の内訳です。
半分以上(55%)が現預金。(青)
次に多いのが保険、年金準備金(28%)。(赤)
この二つで8割以上です。
日銀は、「参考図表」に「家計の外貨建資産」を試算しており、そこでは外貨比率を2.4%(36兆円)としています。
内訳は、外貨預金6兆円、外貨建て投信23兆円、外貨建て対外証券投資7兆円。
これに加えて、保険年金準備金の中で外貨運用されている金額があるはずです。
保険年金準備金の外貨比率については、生保協会の資料で大体15%、損保協会の資料では20%くらい。
預かり資産額が生保300兆円、損保25兆円ですから、掛け合わせると50兆円。(生保の海外運用は為替ヘッジが多いとされていますが、ここでは無視します)
公的年金に関しては、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が総額111兆円の運用資産構成割合を22.7%(外国株12.9%、外国債券9.8%)と公開しており、約25兆円。
この比率は前年度より上昇していますが、おそらく円安で勝手に増えたのでしょう。
なお、FXの証拠金は「預け金」10兆円(グラフでは幅の狭いオレンジ色)の中に入っており、「FOREX PRESS」の資料によれば1兆1千億円。
FXのポジションは外貨ショートもあり、比較的短期間の回転が多いので、ここでは無視します。
これら合計すると111兆円となり、全体1547兆円の7.2%になります。
2.4%にせよ、7%にせよ、海外で作られた製品や食品に依存した生活を送りながら、金融資産のホームバイアスが強すぎます。
これまで国債を支えてきた資金が一気に海外に向かうと大きなショックが発生するので、徐々に外貨比率を高めて円安リスクを緩やかにヘッジしていく姿勢が求められると思います。
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