「黙示」真山仁
「ハゲタカ」はミニバブル本格化前の2004年、原発の全交流電源喪失事故を描いた「ベイジン」は2008年、地熱発電がテーマの「マグマ」は2009年。
最新作「黙示」のテーマは、食の安全と農業です。
ミツバチ失踪事件の原因と疑われるネオニコチノイド系農薬。
反対運動をする養蜂家、農薬メーカーの研究者、共に自分の主張に疑問を感じています。
農水省の改革派は、TPP参加を機に輸出できる農業を目指し、農業コンビナートを淡路島に建設します。
アメリカの大手農業メーカーは、GMO(遺伝子組換え作物)を売り込むため、日本の農薬メーカーと提携して進出。
世界的な干ばつで食糧不足が進み、中国は日本の休耕田で作られる米を買い取ると接近。
増えすぎた人類は、農薬を取るのか、GMOを取るのか、何もせずに食料争奪戦の末に飢えるのか。
この問題に正解は無く、ただ選択があるだけ。
近い将来、本格的な食糧不足が起こるとすれば、本書は再び予言の書として脚光を浴びるかもしれません。
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