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April 01, 2013

アベノミクスと外交

大学同期の外務省キャリアに電話しました。

「久しぶり。2月の安倍総理の訪米に同行したらしいね」
「初めて首脳会談にも陪席した。本当に疲れたよ」

「でも民主党時代に比べると、ワシントンの空気もずいぶんと柔らかくなったんじゃないの」
「まあ基本そうだけど、日中関係を危ぶむ声も多かった」

「軍事衝突の心配だね」

「ああ、米中関係は仮面夫婦だ。中国の為替政策に文句を言いつつも、米国債を買い支える限りは深刻な政治問題化を避けている。
中国がアジアでの米国権益を必要以上に侵害してこなければ、面倒に巻き込まれたくないのは当然だ」

「かつて太平洋の真ん中で、世界を米中が分ければ良いと提案した中国軍人がいたよね」
「言った奴は、15世紀のトルデシリャス条約を真似たジョークのつもりだったんだろうが、含まれている意味は、まんざら冗談とも言えない」

「アメリカでも中国のロビー活動が、かなり効いている感じがするね」
「その通りだ。呑気な日本と違って中国の圧力は露骨だし、韓国は中国の属国に戻ったも同然。韓国の反日行動は中国へのゴマスリでもある」

「経済問題は?」
「為替は外交取引だ。条件付きではあるものの、オバマは1ドル=120円までは容認すると明言したよ」

「それはビッグニュースじゃないか!」
「お前とはいずれ親戚になる間柄だから(注:彼の息子と私の娘は婚約中)正直に言うが、オバマ政権はシェールガス開発と不動産市場の回復で経済には自信を持っている。力を入れているのは外交問題、特にアジアと中東だ」

「さっきの条件って」
「沖縄の米軍基地移転を日米合意通りに進めることと、日本の軍事予算の大幅増額だ。共和党の反対で財政問題が頻繁にデッドロックしていることもあり、中国封じ込めで直接利益のある日本に出来る限り負担させたいんだ。円安で税収が増えるから当然だろ、と言わんばかりだったな」

「金は日本、指揮権の実態はアメリカ。そうしておいて、中国には日本の右傾化を抑制できるのはアメリカだけと言える。こうした二枚舌はキッシンジャー以来の伝統芸だけど、まあ戦略的ではあるよね」
「何しろ、世界中で戦略的でないのは日本くらいさ」

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