バロンズの警告~カイル・バスの賭け~
バロンズの「Does Japan Face a Debt Apocalypse?」が、あちらこちらで引用されていますが、この記事には、Abeは「asset-bubble economy」の頭文字か、とのサブタイトルが付いています。
ここで展開されている日本財政破綻論の中身は目新しいものではなく、お約束の「カイル・バス」も登場します。
カイル・バス(Kyle Bass)は1969年、フロリダでホテルを経営する父の元で出生。
その後ダラスに移り、テキサスキリスト教大学で経営と不動産を学びました。
卒業後はベア・スターンズに勤め、レッグ・メイソンに転職。(レッグ・メイソンは日本法人もあります)
2005年、レッグメイソンが彼の担当するビジネスを売却したのを機に、ヘイマンキャピタルマネジメントというヘッジファンドを作りました。
彼が得意とするのはバブル破綻です。
独立後すぐに、サブプライムローンに注目し、2006年からCDSを買って大儲け。
2007年にはギリシャ国債の破綻にかけて、やはりCDSを買っています。
こうした経歴を持つ彼の目に、日本国債がバブルに見えることは非常に良く理解できます。
0.6%の10年債を喜んで買うのは邦銀くらいのもの。
彼らはインフレにならないことを確信しているという訳ではなく、既に「too big to fail」になっている日本国債市場から逃げ出す方法が見つからないだけ。
海外には4%、5%の債券がたくさんあり、更には円安傾向になっているので、外債を買った方が二重に儲かりそうなものですが、ジャパンマネーは本格的な外債購入には動いていません。
個人的には絶対に日本国債を買わない人も、銀行に預金し、保険に入ります。
個人金融資産は銀行や保険会社に集まり、それを運用するのは皆サラリーマン。
買わずに失業するよりは買って皆で破綻する方が合理的行動です。
こうした類い稀な均衡を、なぜ日銀はわざわざ壊そうとするのか。
それは財政破綻リスクを過小評価しているからに違いない!
日本人の徹底したホームバイアスと、根拠なきリスクゼロ信仰を肌感覚で知らないカイル・バスには、その日がすぐにも来るように見えて仕方がないのでしょう。
彼は言います。
必ず起こる、問題は「When」だ。
その通り。
20年後かもしれません。
その前に消費税率を25%にして、少なくとも単年度ベースでは解決してしまうかもしれません。
それともキャピタルフライトは既に、静かに始まっているのでしょうか。
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