「MRIインターナショナル」の教訓
米資産運用会社「MRIインターナショナル」による巨額資産消失疑惑で、被害弁護団は8日、米国本社のエドウィン・ヨシヒロ・フジナガ社長を近く詐欺容疑などで捜査当局に告訴する方針を明らかにした。弁護団は消費者問題に詳しい弁護士ら約50人で結成。12日に都内で被害者説明会の開催を予定している。(共同通信)
名前からすると、社長は日系人のようです。
日本だけで募集していたことと符号するのでしょうか。
毎度繰り返されるこうした詐欺事件ですが、対策としては、投資家側が甘い話に騙されないということと、検査の方法を変えるという二つのアプローチがあります。
「MRI社は、米国の診療機関が保険会社に診療報酬を請求する権利を買い取り、回収することを事業としており、これをもとに日本で固定年利6.0─8.5%の利回りが得られる「MARS(診療報酬請求債権)」と呼ばれる金融商品を円建てとドル建てで販売していた」
と報道されていますが、要するに診療報酬請求権のファクタリングによる金融行為をしていたということです。
投資家に年利6%以上の利回りを出すということは、更にこれ以上の割引率で債権を継続的に買わなければならず、この低金利時代に、MRI社に極端に有利な経済行為(つまりは診療報酬請求権を安く売る行為)が繰り返されるとは到底思えません。
よほどのエビデンスが提示されない限り、投資決定してはいけないことは当然です。
金融庁(証券取引等監視委員会)の検査は、いわゆる「大手」を優先する傾向があります。
顧客数が多い証券会社、J-REITの資産運用会社、大手不動産系の投資顧問会社などは殆ど検査を経験していますが、こうした会社群はレピュテーションリスクが高いので会社自身が相当の注意を払って運営しており、手間の割りに致命的なミスは発見されないのが普通です。
ヤフー知恵袋に、MRI社に関するQAが残っていますが、これは2008年のこと。
「これを見て検査に入れ」というのは無理でしょうが、常識では考えられない高金利での運用を謳っている、芸能人を宣伝に使っている、といった条件でフィルタリングし、検査官が事前ヒアリングするだけでも相当の効果はあるはずです。
2116社(3月現在)もある金商業登録会社を効率的に監督するには、狭く深くと、広く浅くを使い分けることが必要です。
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