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May 04, 2013

衰退したガスプロム帝国は東に向かう

ロシアの輸出の10%以上、国家税収の25%ほどを稼ぎ出すと言われた帝国企業「ガスプロム」。

しかしながら、5/2付けのWSJ「ロシアのガスプロム、シェールガス革命で一転敗者に」によれば、小国(属国?)ブルガリアが昨秋、ガスプロムから20%もの値下げを勝ち取ったとあります。

Graphガスプロムの株価は低迷しています。

ガスプロムの基本戦略は、「欧州にパイプラインで天然ガスを独占的に供給して高価格を維持する」でした。

Nordstreamしかしながら、パイプラインの途中にあるウクライナとはガス供給に関する紛争が絶えず、苛立ったロシアはウクライナを通らない北ルート(ノルド・ストリーム)を計画。

バルト海からドイツを経て欧州大陸へ運ばれるルートには、更にロシアへの依存度を高めるとの批判もありましたが、脱原発を進めるドイツには、原発以外のエネルギーを確保したい意向もありました。

とはいえ、EU全体を長い目で見ると、ロシアへの依存度は低下。
大雑把に言うと、EUの天然ガスのロシア依存度は、1990年は7割台、2006年40%、現在30%程度。

代わりに伸びているのは、北欧地域はノルウエー、南欧はアルジェリアからの輸入。(今年1月に起きたアルジェリア人質拘束事件は、天然ガス精製プラントでした)

最近は、アメリカのシェールガス革命で余ってしまったカタール産も増えています。
原発が止まった日本も、カタール産を買いまくっています。

ロシア依存度が下がったことで、欧州委員会は昨年9月、ガスプロムをEU競争法(独占禁止法)違反の疑いで正式調査を開始すると発表して反撃。

欧州で伸び悩み、アジアでは出遅れて中国に輸出できていないガスプロム。
プーチンはガスプロムへアジア戦略立案を指示し、北方領土問題を絡めながら日本への営業を強化。

現在、ウラジオストクで年産1千万トン規模のLNGプラント建設計画を進めると同時に、ロシア産LNGの購入を日本に迫っています。(日本のLNG輸入量は震災前で7000万トン、2012年度8700万トン)

ウラジオストクは、東を支配するという意味です。

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