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July 07, 2013

米国経済は金利上昇に耐えられるのか

6月の雇用統計は強く、米長期金利は2.74%まで上昇。
5月下旬に2%台に乗ってから短期間で3%が視野に入ってきましたが、今のところ株価は崩れずに持ち堪えています。

Dow5yDOWと長期金利(TNX)の5年チャートです。

QE1の間、株と金利は正の相関。
景気が良くなるなら金利も株価も上がるという、伝統的な株高債券安パターンでした。

QE1が終了する2010年3月頃から様子が変わり、金利が下がって株価が上がるパターン。
FRBが長期債券を買うことで金利が人為的に安くなり、それを好感して株が買われる。
金余りによって株も債券も同時に上がる金融相場と解されています。

但し、実際のQE2の期間(2010年11月~2011年6月)を見ると、当初2.8%だった長期金利が3.45%まで上昇し、終わる頃にまた2.8%に戻る。
金利低下に直接の効果があったとは言いにくく、株価も一進一退でした。

QE3が始まった2012年9月、長期金利は1.6%台。
その後は1.8~1.9%近辺で推移し、今年5月には2%に乗りました。
この間のDOWの上昇は、雇用や不動産市況の回復もあり、正当な評価とされています。

長期金利は緩和期待で下がり、実際のQE2、QE3実施期間では上がってしまう。
日本の長期債市場でも同様に、実際にバズーカ砲が発射されると、下がっていた金利が反発したことは興味深い一致です。
今もまた、FRBはまだ動いていないのに、長期金利は大きく上昇しています。

グラフの青丸の地点(2010年3月頃)はまだ、株価と長期金利の関係が量的緩和で歪になっていない最後の地点と思われますが、当時の長期金利は3.3%でした。

仮に金利が今より0.5%上がった場合、D/Eレシオ1.0、ROE15%のモデルで考えると、EPSへの影響はマイナス3.3%くらいです。
これは、現在のDOWのPER16.8倍が17.4倍になる程度ですので、今のムードなら大きな障害とはならないように思われます。

なお、この当時DOWは11000$弱で長期金利3.3%とバランスしていました。
再び世界が金融危機に覆われると悲観した場合には、このレベルも意識されることになりそうです。

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