« 新興国と先進国の投資配分 | Main | ブックオフとハードオフ »

July 01, 2013

WILLCOMの会社更生法手続きが完了

中年層には、「DDIポケット」という名前の方が通りが良かったりしますが、PHS事業のウィルコムが更生債権の返済を前倒しで完了し、晴れてソフトバンク(SB)の連結子会社となりました。
株式会社ウィルコムの会社更生手続終結に伴う連結子会社化に関するお知らせ

元々の計画では、410億円の債務を2011年から6年間で弁済するというものだったようですが、SBから271億円を調達して一気に片を付けてしまったようです。

リリースに依れば、2013/3期のウィルコム決算は、売上1693億円、経常利益67億円と好調。
EPSは25,697円となっています。

前身のDDIポケットはKDDIの子会社でしたが、auを傘下に持つKDDIが競業を嫌ったこともあって、2004年にカーライルに売却。

カーライルは定額通話プラン等で業績を伸ばしてきたウィルコムを早期に上場させて逃げ切るつもりでしたが、2007年1月にSBが、同じ定額通話のホワイトプランを出してきて競争が激化。

多額の設備投資を捻出するためにカーライルが増資を引き受ける話も、2008年の金融危機でご破算。

2009年9月、事業再生ADR手続きに入って「企業再生支援機構」の支援に期待しましたが、運の悪いことに、ウィルコム第二位株主である京セラの稲盛氏が、同時期に日本航空の再生手続きに関与することになり、企業再生支援機構はJALに集中。

ウィルコムは2010年2月に会社更生法を申請し、ライバルSBの支援を仰ぐという皮肉な経緯を辿りました。

なお、ウィルコムの現在価値を、ざっくり計算してみます。

ウィルコムの税負担率を4割とすると、推定当期利益は40億円。
株式総数30万株で割ると、EPS13400円。
PER15倍で1株20万円、時価総額600億円。
有報によればSBの簿価は3億円しかないので、投資持分の増加額は597億円となります。

ちなみに、ガンホーの完全子会社化の時は、1500億円がSBの決算に上乗せされました。

孫さんは、自らが破綻に追い込む原因を作ったとも言えるウィルコムを見事に再生させ、早期に上場させる意欲も十分というところでしょうか。

|

« 新興国と先進国の投資配分 | Main | ブックオフとハードオフ »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 新興国と先進国の投資配分 | Main | ブックオフとハードオフ »