英国王室は不動産王
英国のウィリアム王子夫妻に、お世継ぎの「ジョージ」が誕生し、祝賀ムードに包まれているイギリス。
英国王室が多額の不動産を所有していることは良く知られており、その額は100億ドル(1兆円)とも言われています。
年間3%の利回りでも、300億円の収入があることになります。
英国王室は、1066年ウィリアム1世のノルマン・コンクエスト(征服)に始まるとされます。
ウィリアム1世はフランス人であり、ウィリアムはギヨーム(Guillaume)の英国読みです。
ちなみに「ジョージ」は、ドイツ人名ゲオルクの英国読み。
ジョージ1世となったゲオルク・ルートヴィヒ(Georg Ludwig)は、ハノーファー生まれのドイツ人です。
ノルマン・コンクエストの頃、土地は領主と領民の封建的な関係の中にありました。
領主の権利は「estate」と呼ばれていました。
これは「establishment」などと同根ですから、生まれながらの身分制度的な権利と定義されていたものと思われます。
一方、領民の権利は「tenure」と呼ばれていました。
これは契約により、一定の期間使用できる権利といった意味合いで、これが変化してテナント(tenant)となりました。
国家全体の領主は王室ですから、土地は元来「王家」のものであり、それを利用できる権利が次々と地層のように重ねられていった。
という古典的な概念を表したのが左の絵です。(出典:http://myhome.nifty.com/kiso/kouza/26.jsp)
土地の利用権=借地権(Leasehold)は期限付きでしたが、近代になると永続的な使用権が欲しいということになり、期限のない「Freehold」という権利も認められるようになりました。
現在のイギリスでは一般的に、フラット(共同住宅)はLeasehold、戸建てはFreeholdで取引されているようで、フラットのLeasehold期間が残り少なくなってローン設定等が難しくなるとFreeholdの権利を買い取る、といった商行為が多く行われているようです。
伝統的な立場によれば、英国王室は全ての土地の元地主なのですから、今でも100億ドル(1兆円)くらい「残っている」のは当然なのかもしれません。
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