NISAで喜ぶのは誰か
「ニーサ・ニーサ」と、TVCMも喧しいこの頃。
私の留守電にも、N証券からの勧誘コールが入っていましたが、この制度、経験者に取っては大した旨味はありません。
「今さらまた住民票でっか」
「損が出ても通算できないって、何それ?」
「たったの年間100万円って、税率が10%上がる見返りには全然ならないっしょ!」
美味しく見えるのは、投資家予備軍の方々たちにとって。
なにやらアベノミクスで株高らしいから始めてみるか。
売る方としては、「リスク管理上、投資信託がお勧めです」という勧誘に、素直に頷いてくれる客が欲しいのは当然。
5年で500万円の取引手数料などしれていますが、継続的な信託報酬を考えれば、さぞかし鴨葱がイッパイいるように見えるのでしょう。
こんな面倒な制度よりも、単純に「株式等譲渡所得の特別控除制度」を作れば、無駄なシステム投資も不要。
既存投資家にも公平ですが、それでは法案が通らないと考える大人の事情が金融庁にあったことは、容易に推察できます。
ちなみに金融庁の来年度税制改正要望項目(pdf)を見ると、金融所得課税の一本化のため、デリバティブ取引の損益通算の拡大を求めています。
要するに、FXの損失が株の利益と通算可能になるわけですが、「特に、総合取引所に係るデリバティブ取引については早期に実現すること」という一文が波紋を呼んでいます。
せっかく同等になった店頭取引と取引所取引(「くりっく365」)の税制に、再び「官民」の差を作ろうとする金融庁。
東京金融取引所のトップは、あの斉藤次郎→太田省三と、旧大蔵省の指定席。
金融庁としては、投資の拡大を進めることによる権益拡大と同時に、特別口座等を通じて所得の捕捉を確実にすること等で、財務省=国税庁とも連携していくという大きな方針に沿って動いています。
Comments