米国の労働参加率が低下傾向
雇用統計で失業率を評価する時、労働参加率が話題になります。
労働参加率は、生産年齢人口に占める労働人口の割合。
生産年齢人口は、15歳から64歳までの人口で、これが分母。
働く意思を持つ者(運良く職に就いている就業者と、探しても見つからない失業者の合計)が分子。
失業率は、失業者数÷労働人口なので、失業者が職探しを諦めてしまうと分母分子両方から同数が減って失業率が改善しますが、それは市場が評価しない事態ということになります。
アメリカの労働参加率の長期推移(10年間)は、下記の通りです。
金融危機前までは概ね66%でしたが、直近は63.2%と3%ほど減少。
米国労働省の統計では、生産年齢人口が242百万人(人口の8割くらい)ですから、3%は約700万人に相当します。
しかし、大抵の人は働かないと食えないので、簡単に諦めることは無いはずです。
アメリカの(広義の)ベビーブーマーは、現在50~67歳で、約8000万人と言われています。
ビジネスで成功した富裕層も相当程度いるはずで、数百万人のアーリーリタイアメントが発生している可能性があります。
さらには、彼らの子供達の中にも、必死に労働しなくてもよい層が増えているように思われます。
調べてみると、アメリカの相続税(連邦税)はやたらと変更が多いのですが、2010年は一時的に廃止されたものの、2011年は控除額が500万$(5億円までは非課税)、2013年は控除額が100万ドル。
州税は無いところも多いので、親の代からミリオン単位で資産継承することは、比較的やりやすい環境と考えられます。
いずれにせよ、働かなくても何とか食べていける層がいなければ、労働参加率はこれほど下がらないはず。
働きたくても職が無い人が増える一方で、無理して働かない人も増えているのが米国の実態と推測されますが、金融資産の世界的な膨張によって、同じような二極分化は日本でも進んでいるように感じられます。
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