着々と進む日立のグループ戦略
日立製作所が次々と上場子会社をTOBし、完全子会社化する中央集権戦略を進めています。
その始まりは、まだリーマンショックの余波が覚めやらぬ2009年7月。
社会イノベーション事業強化(意味不明?)というキャッチフレーズの元、日立情報システム、日立ソフトウエアエンジニアリング、日立システムアンドサービス、日立プラントテクノロジー、日立マクセルの上場5社を一気にTOBして上場廃止。
2012年10月には、日立金属と日立電線という大物同士が経営統合を発表。
2013年6月、日立金属が日立電線を吸収合併して、日立電線は東証ボードから消えました。
今月13日には、日立本体が日立メディコをTOBと発表。
近々、上場廃止の見込みです。
そもそも親子上場には様々な問題点が指摘されていることもあり、日立グループが遠心力重視から求心力重視へと明確に舵を切ったことは評価されます。
これまでのTOBでは、市場価格の3~4割くらいのプレミアムを付けているので、一体どこまで上場子会社を減らしていくのかにも興味が沸きます。
残っている日立グループ上場銘柄は11社。
親の日立と、さきほどのメディコを除くと9社。
どこまで残すかを「当てること」は不可能ですが、日立マクセルのように時価総額が2000億円近くあって一定のブランドを誇っていた会社まで非上場化したのですから、最終的には小さな会社は残さないだろうと思われます。
意思決定の迅速化や上場コストの節約という点も無論ありますし、グループ内の秩序維持の観点からは、「なんでお前程度の会社が上場してんだよ」という批判に配慮する必要もあるでしょう。
時価総額で最下位は東証二部の日立機材で180億円。
日立製作所本体ではなく、日立金属の子会社(持分64%)です。
業績は悪くないようですが、売上250億円で従業員380名は中途半端な規模。
株式の流動性も、資金調達の必要性も低く、日立金属の非上場子会社にしてしまった方がスッキリしそうです。
次に小さいのは日立工機で、時価総額906億円。
売上1200億円、従業員5000名(連結ベース)と一定の規模があり、配当利回りも3%台と、投資家目線でも悪くはないスペックです。
こちらは日立本体が33.1%、日立アーバンインベストメントが8.9%、自己株口が17.6%と微妙な株主構成ですが、仮に自己株を償却したと仮定すると、日立とアーバンインベストメントの合計が51%になります。
事業内容は電動工具中心ということなので、日立金属の子会社に再編する道もありそうです。
さらには、日立国際電気と日立ハイテクは半導体製造装置の分野で重複があるようにも感じられるので、何らかの整理統合が検討されているかもしれません。
ざっと見たところ、大体この辺りまでという感じでしょうか。
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