10月経常収支は赤字
地域別輸出では、米国、中国が共に2割以上伸び、商品別では、自動車が+2,283億円(+31%)、鉱物性燃料が+664億円(+81%)。
輸入は地域別で、中東が+4,517億円(+52%)、中国が+2,983億円(+22%)。
商品別では、原油が+4,885億円(+68%)、LNGが+1,649億円(+39%)、半導体等電子部品が+788億円(+51%)。
要するに、自動車輸出が2300億円増えたものの、燃料輸入は2倍以上の6500億円も増加。
その差の3200億円の赤字で、前年同月比▲5500億円の半分以上が説明できます。
今年度上半期確定分(4~9月)では、輸出が前年比+9.8%に対し、輸入は+14%。
輸入の伸び率が、輸出のそれを上回る傾向は定着しており、10月は、その差がさらに拡大したために予想が外れたといったところでしょう。
貿易赤字はエネルギーだけではなく、スマホ輸入の増加が原因という論調も最近見られます。
グラフは、電気機器全体と、その主要内訳項目である通信機器と半導体電子部品の貿易収支を抜きだしたものです。
通信機器の赤字額は、半年(6ヶ月)で5000億円ペースが1兆円レベルへと拡大。
使われている部品は日本製が多いから部品は健闘しているのでは、と思ったら、そちらも黒字が減少トレンド。
結果的に電気機器全体の黒字が、6ヶ月ベースで1兆円ほど減っています。
電気機器関連の競争力低下が著しいことが分かります。
大ざっぱに言うと、半年で7兆円稼ぐ自動車と1兆円の電気機器。
かつて日本経済を牽引した自動車と電気の両輪は一輪だけになり、そこに燃料輸入という重荷を背負っています。
10月の数字に戻りますが、サービス収支は▲3137億円。
期待される旅行収支ですが、10月は受取りが1870億円、支払いが1870億円と、▲526億円ではあるものの、前年よりは350億円も改善。
H24年度通期では、この分野で1兆円以上の赤字でしたから、今後は年間ベースで数千億円単位の改善は期待できます。
所得収支は、1兆3615億円の黒字で9%改善ですが、為替が昨年より2割以上も改善している背景を考えると、心細い投資結果です。
概観して見ると、観光や投資で改善できそうなのは、せいぜい月間で1500億円程度。
輸出が増えると、工場の稼働エネルギーの増大や増えた賃金で購入する輸入品が増えるので赤字拡大。
経済産業省は今月、エネルギー基本計画の素案を示し、原発を「重要なベース電源」と明記しましたが、日本が財政破綻を避けるためには、ごく当然の判断を示しただけのことです。
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