変動金利国債なら買っても良いのか
年に4回発行される個人向け変動金利国債。
12月の募集が迫り、証券会社によるバナー広告も目立っています。
100万円で3000円プレゼントなどのキャンペーンも見られます。
個人向け国債の販売手数料は原則0.5%と聞いているので、その6割を還元する大盤振る舞い。
少額の国債など店頭に買いに行こうものなら、根掘り葉掘り予算を聞かれて、さんざん別の投信を勧められますよ、というわけです。
仮にもし買うとすれば金利変動タイプだろうことは、まあコンセンサスでしょう。
商品のおさらいをしておきます。
個人向け国債は、3年固定金利、5年固定金利、10年変動金利があります。
この内、3年固定は毎月発行され、残り二つは年4回です。
利払いは年2回、下限金利はいずれも0.05%。
今、メガバンクの5年定期が0.05~0.08%ですので、そのあたり意識しているのでしょうか。
肝心の金利ですが、公式説明文は以下の通り。
5年固定が「基準金利 (1)- 0.05%」、10年変動が「基準金利(2) × 0.66」。
基準金利(1)は、募集期間開始日の2営業日前(10年固定利付国債入札日)において、市場実勢利回りを基に計算した期間5年の固定利付国債の想定利回り(小数点以下第3位四捨五入)。
基準金利(2)は、利子計算期間開始時の前月に行われた、10年固定利付国債の入札(初回の利子については募集期間の開始直前に行われた入札)における平均落札価格をもとに計算される複利利回り(小数点以下第3位四捨五入し、0.01%刻み)。
文字だけ追うと分かりにくいですが、5年固定は発行時に金利が固定され、実勢レートから0.05%だけディスカウントされます。
最も近い実例を見ると、今年10月発行の第32回債が、基準金利0.29%、税引き前0.24%、税引き後0.19%で決定。
これは、100万円購入して、5年通算の手取り利息が9500円くらい。
単純化すると、1%以上インフレになったら実質マイナス。
2%インフレにすると言っている日銀の人は絶対買わないはずです。
10年変動の方ですが、10月の実績では、基準金利0.77%、適用金利は0.51%(0.77×0.66)、手取りは0.406%なので、100万円買って年4060円。
仮にこのままの状態が10年続くなら約4万円の利息収入で、金利上昇に対して一定のヘッジがついている商品。
みずほ銀行の大口定期預金10年は、表示で0.25%。
大口の場合、窓口で少し上乗せがあるでしょうが、0.5%までは届かないでしょうから、国債の勝ち。
仮に金利が2%になると、10年変動での年間手取り利息は100万円に対して10500円。
2%の目減りに対して、半分程度は取り戻せる計算で、発行から1年が経過すれば、直近2回の利息をあきらめることで換金可能と一定の流動性も確保。
人気の程はどうかというと、今年6月募集分は2966億円で、9月募集が6661億円と、大きく伸びました。
総じて良く考えられた商品設計とは言えると思います。
「10年寝かせる資金があるから買う」という人を止めはしません。
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