今からDOW銘柄を買えるのか
米国株は過熱感を指摘されつつ、思ったよりも強くしなやかで、なかなか安く買わせてくれません。
既にDOW30種の平均PERは、17.2倍と表示されており、経験則から標準とされる15倍をかなり越えて推移しています。
円安傾向も定着しつつあるので、ドルで運用したい、出来れば割安な優良銘柄で、と考えるのは当然です。(以下、数値はヤフーUSA)
現在DOW30銘柄の中で、最もPERが低く表示されているのは、8.72倍のファイザー(PFE)です。
配当利回り(イールド)は、3%。
但し、これは1年前に栄養事業をネスレに売却した特別利益が含まれているので、今期予想ベースでは、14.5倍くらいです。
それでもまだ、比較的割安という見方は出来るかもしれません。
ちなみに営業利益で武田を抜いたアステラスは、PER25倍、イールド2.2%です。
事実上最も低いのは、PER10.1倍のシェブロン(CVX)。
石油メジャーの一角で、ブランドの「カルテックス」の方が、とおりが良いでしょうか。
イールドは3.3%とまずまず。
資源関係のPERは低いものなので、格別出遅れという訳ではないでしょうが、米国株が堅調である限り、同程度には推移しそうです。
次は11.3倍のトラベラーズ・カンパニー(TRV)。イールドは2.2%。
日本では馴染みの薄い会社ですが、時価総額最大(多分)の保険会社ですから、堅いことは堅い。
次はシスコ・システムズの11.5倍。イールド3.2%。
ITバブルの頃は、何でルーター売ってる会社がこれほどブイブイ言わせるのか、不思議なほどの勢いでした。
ネットが当たり前になった現在、ここ数年の業績は安定しているようです。
次はデュポンの12倍。イールド2.9%。
デュポンは欧州企業と勘違いされることもありますが、フランス革命でアメリカに移住したフランス人デュポンが1802年に創業。
ナイロンやテフロンの発明など、研究重視で上品なイメージがありますが、経営的にはM&Aやスクラップ&ビルドが盛んなアグレッシブな姿勢です。
次はIBMの12.3倍。イールド2.1%。
2004年、PC事業とThinkPadのブランドをレノボに売却し、斜陽というイメージを持ってしまいがちですが、現在ではマシン売上は殆ど無くなり、サービスやソフトウエアで稼ぐ会社になりました。
終わった感が強いのは日本IBM(かつてはキラキラ輝いていた)で、全体としては、そう悪くないのかもしれません。
次は12.5倍のエクソンモービル(XOM)。イールドは2.7%。
先日、あのバフェット率いるバークシャー・ハサウェイが34.5億ドル相当を取得したことで話題になりました。
BPがメキシコ湾で起こしたような大事故が無い限り、盤石な財務体質。
さらなる株主還元も期待できるとの観測もあります。
ここまで7社見てきましたが、PFEは除くとして、6社がPER12倍台以下と、特段割高と指摘するようなレベルではありません。
なお、イールドだけで順位を拾うと、ATT(T)の5.1%が第1位、2位が4.2%のベライゾン(VZ)と通信系が上位。
そして3位がインテル(INTC)の3.8%。
インテルはPCの販売減で苦戦中ですが、もし収益性の高いモバイル用CPUでキャッチアップできれば面白い存在になるかもしれません。
このように、世界のトップ企業が割安に見えるとしたら、既に日本株が割高ということです。
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