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January 10, 2014

米国通信業界は戦国模様(2)

スプリントの買収に邪魔が入り、戦略的に出遅れたソフトバンク(SB)。

普通にやっていては、2強に勝てないどころか、Tモバイルの足音も聞こえてくる。
そこで孫さんが考え出したのが、Tモバイルの買収。

孫さんに味方しているのは、3位と4位が統合すると、3強の加入者数が概ね1億人程度で拮抗するという現況。
ATTのTモバイル買収と違ってスプリントのTモバイル買収は、2強2弱体制から日本のような3強体制へと移行して公正な競争を促進するという、出遅れを逆手にとった大義名分には一定の説得力があります。

ZNY市場での4強の株価を見てみると、スプリントとTモバイルが急上昇しており、統合の実現性について市場は肯定的のようです。

東京市場でのSBの株価も堅調。
またまた2兆円規模の大借金となりますが、何しろ世界一の企業になる予定なので、この程度で狼狽していてはSBの株主は勤まらない、といったところでしょうか。

また最近になって興味深い動きがあり、ベライゾンがTモバイルへ一部周波数帯の利用権を総額33億ドルで売却すると発表。

ベライゾンのマクアダムCEOは、スプリントがTモバイルを買収する場合、規制当局が承認の条件として周波数帯の売却を求める可能性があるとの見方を示したと報道されており、条件次第では3強体制もまんざらでも無いような発言をしています。

どうせ業界再編が避けられないのなら、過当競争で疲弊するよりも、均衡の取れた3強体制の方が好ましいという思惑なのでしょうか。

さらに視野を広げると、ベライゾンから13兆円もの売却代金を受け取ってキャッシュリッチなボーダフォン(英)をATTが狙っているというスケールの大きい噂もあり、全米競争から全世界競争へと、この業界の2014年はかなり熱くなりそうに思われます。

なお、通信業界全体に投資するなら、IXPがあり、組み入れ上位3社は、ボーダフォン、ATT、ベライゾンの順となっています。

2013年のIXPのパフォーマンスは+20%と、相場全体が好調なこともあって良好でした。

元々通信銘柄は、規制業種で面白みが無い代わりに高配当という特性があり、配当利回りはATTが5%台、VZが4.4%程度とNISA向き。

IXPも3.4%程度の配当利回りがあり、冒険したくは無いけれど債券では詰まらな過ぎる、といった投資家層には一定の魅力がありそうに思います。

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