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January 09, 2014

米国通信業界は戦国模様(1)

全米を網羅する通信会社は、4強に絞られています。

Photo総合首位はLTEで先行した「ベライゾン(VZ)」。
昨年、ボーダフォンからベライゾン・ワイヤレスの出資持ち分を買い取って合弁を解消しました。

僅差で追う2位は巨人「ATT」。時価総額ではベライゾンを3割ほど上回っています。
かつてはiPhoneを独占販売していましたが、3年前からVZも取り扱いを開始しました。

だいぶ遅れての3位は、ソフトバンクグループ入りした「スプリント」。

そして4位は、ドイツテレコムからATTへ390億ドルで売却されるはずだった「Tモバイル」。
業界の寡占を恐れる当局の反対で生き残る大逆転劇となり、ATTがドイツテレコムに支払った違約金は30億ドル。

ATTと蜜月関係だったTモバイルは、この違約金を使ってATTの牙城を切り崩すような販売奨励策を取ったため、ATTは激怒!

ATTは、TモバイルからATTに移行すると450$のキャッシュバックを行う、大リベンジキャンペーンを今月開始。
現在ラスベガスで開催中のコンシューマー・エレクトロニクス・ショーでは、ATTが自社のパーティからTモバイルのジョン・レジャーCEOを追い出す騒ぎまで発生しました。

4社の中で最も苦しい立場なのは、スプリントと見られています。

ソフトバンクが2012年10月にスプリント買収方針を発表した後、ソフトバンクの希望によって、スプリントがクリアワイヤー(スプリントが筆頭株主)を買収しようとしたところ、衛星TV大手のディッシュが割り込んで来てソフトバンクと対立。

2013年4月には、ディッシュがスプリントへの敵対買収を仕掛けるM&A合戦となり、結局6月にスプリントの臨時株主総会でソフトバンクによる買収が決まるまで、スプリントは次の主人が決まらずに宙ぶらりん状態。

この間、スプリントの契約者は他社の草刈り場となり、13年後半にはスプリントの加入者数が純減に転じるなど、手痛い空白期間となってしまいました。

買収合戦が終わって13年10月、スプリントは高速LTEサービス「Sprint Spark」をようやく発表。

現在LTEでは、上り系と下り系で別々の周波数を使うFD-LTE方式が日米の主流ですが、同じ周波数を時分割して利用するTD-LTE方式を中国が採用。

ソフトバンクとスプリントは両方式に対応するハイブリッド・サービスを目指していますが、サービス開始が出遅れたため、「向こう3年間で100都市、14年末までにカバー人口1億人」というスローな目標となりました。

スプリントが目標を達成する頃には、ATTとベライゾンは更に早い「LTE Advanced」でスピード競争を展開しているだろうと業界筋は見ています。
(続く)

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