ソニーの悩みは深い
ソニーの決算は、やはり気になります。
衰えたとは言え、HONDAと共に、日本人が作り上げた最も価値あるブランドの一つには違いありません。
PC事業の売却とテレビ事業の子会社化を発表し、ようやく「捨てる」方向に踏み出したことは、遅まきながらも評価できるように思われます。
以下は事業分野別の第三四半期(2013年10月~12月)損益です。
①IP&S(イメージング・プロダクツ&ソリューション)分野
売上 1981億円 営業利益 121億円
要するに、カメラ関連部門ですが、為替に助けられて前期比で増収増益です。
②ゲーム分野
売上 4418億円 利益180億円
意外にも(?)PS4が売れたことで、64%の増収。
しかし、営業利益率は4%。
ある記事によれば、PS4の製造コストは381ドルで販売価格399ドルと、利益は18ドル。
Xboxもそうですが、ソフトを売るためにハードは安売りせざるを得ません。
③MP&C(モバイル・プロダクツ&コミュニケーション)分野
売上 4615億円 利益 ▲126億円
Xperiaは、ここに入ってますが、部門損益は赤字。
PC事業の減損82億円を含みますが、それが無くても赤字。
今後ソニーは、モバイル・タブレット分野に集中すると宣言していますが、急速に低価格化が進んでいるこの分野で儲かるのでしょうか。
④ HE&S(ホーム・エンタテイメント&サウンド)分野
売上 4040億円 利益 64億円
テレビやブルーレイレコーダー、ウォークマンはここですが、辛うじて黒字化達成。
TV部門は依然として50億円の赤字。
TVを除くと、売上1491億円 利益114億円となり、カメラ部門と同程度くらいの成績になります。
⑤ デバイス分野
売上2160億円 利益 ▲238億円
CMOSとか他社に随分売っているのに、こんなに赤字なのは不思議ですが、電池事業で320億円の減損が含まれているとのこと。
電池は、次の捨てる候補NO1でしょうか。
⑥映画分野
売上2237億円 利益243億円
当たるかどうか、ギャンブルみたいなものですが、今四半期はトム・ハンクスの「キャプテン・フィリップス」がまずまずのヒット。(制作費55億円、欧米興行収入320億円)
⑦音楽分野
売上1447億円 利益217億円
この分野は手堅い感じ。
大株主のサード・ポイントは、映画と音楽を分離上場するよう要求しましたが、この2部門が抜けると、営業利益が半分になってしまうのが、ソニーの現実です。
⑧金融分野
売上2842億円 利益478億円
ここは稼ぎ頭で、増収増益です。
金融部門の利益が全体に占める割合は、前年同期の74%からは低下したものの、依然53%と過半。
為替に助けられている影響も大きく、利益面からはエレクトロニクスの会社ではない状態が解消されていません。
グラフは、減損等の特殊要因とTV部門を除いた分野別営業利益です。
エレクトロニクス会社であり続けること、雇用を確保すること、利益を伸ばすこと。
もしかするとこれは、ソニーのトリレンマでしょうか。
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