トルコ情勢の確認
私のシナリオでは、2020年五輪はイスタンブール開催。
良好な日土関係をベースに、日本は更にイスラム社会への経済進出を進めていくはずでしたが、エルドアン首相の傲慢なイスラム傾斜によって完全に狂ってしまいました。
8月の大統領選挙に先立つ今月30日の地方選挙では、与党AKPの大敗が予想されています。
最近のエルドアン首相の政策は、独裁者の最後に共通する末期的な様相を見せています。
・警察、検察の大粛正
汚職疑惑の追求を避けるため、捜査当局に人事権を用いて介入するという、先進法治国家では到底考えられない事態です。
・ツイッターの禁止
息子に「金を隠せ」と電話した音声がツイッターに投稿されたのが原因です。
エジプトのムバラク政権もツイッターを遮断しましたが、まもなく政権は倒れました。
トルコの場合は、ツイッター遮断に対抗する回避策が広く知られ、むしろ飛躍的に投稿数が伸びていると伝えられています。
回避策は主に3つです。
①グーグルの「パブリックDNS」の利用。(DNS:「8.8.8.8」)
②SMS(ショートメッセージサービス)経由の投稿。
日本でもそうですが、SMSは電話回線を利用しています。
③VPN(VirtualPrivateNetwork)経由の利用。
なお、昨日段階のニュースに依れば、現在は①、②も禁止されたようです。
・私立学校の廃止。
トルコ議会は先月、国内に約4000校ある私立学校を2015年9月1日までに閉鎖する法案を可決しました。
もう、メチャクチャです。
私立学校の多くは、イスラム聖職者のギュレン師(米国在住)によって運営されているため、目の敵にされました。
ギュレン師はエルドアンの政敵とか政府転覆を図ろうとしているなどとも報道されていますが、私の理解では、過激なイスラム主義に偏らない教育によってトルコを近代国家に発展させようという、穏健な活動です。
粛正された捜査当局関係者にギュレン氏の教えを受けた人々が多いのは、汚職を追及するという当たり前の行動をしただけのこと。
30日の地方選挙後、一気にエルドアンが退陣に追い込まれるのか、それともあくまで8月の大統領選挙で決着を付けることになるのか。
トルコ株のETF(TUR)、通貨トルコリラ共に、今は様子見の姿勢のようです。
大帝国オスマンの血を引くトルコ国民の、バランス感覚に期待したいところです。
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