書評「日本人が知らなかった中東の謎」
「日本人が知らなかった中東の謎」
の著者である佐々木良昭氏は、ブログ「中東TODAY」の主宰者でもあります。
本書は、中東・イスラム教に関する入門書です。
同様の書籍が巷に溢れている中で、敢えて本書を選ぶ理由があるのかというと、あるように感じられました。
第一に、出版が今年の2月と新しいので、かなり最近の情勢を踏まえた記載がなされています。
例えば、昨年夏のエジプトの軍事クーデターについても、ムスリム同胞団の実態について現実的な視点で解説されており、その後の展開も概ね著者の読み通りに進行しているような気がします。
第二に、現地の「草の根情報」に基づいた見解が基礎になっていること。
何しろ、本人が19歳でモスリムに入信し、拓大→リビア大学神学部という極めて珍しいプロフィール。
wikiに依れば、母校で教授になったものの日本刀による暴力沙汰を起こして免職になり、その後笹川系の東京財団で職を得たようですから、何となくその「人となり」については想像が付きます。
まあプライベートはともかく、本の中身は信者としてのバイアスが強く出ることも無くてバランス感覚があり、日本人なら誰もが感じる「イスラムって、こういうとこがワッカンネエんだよな」というポイントに関して著者なりの回答が揃っており、さくっと読めます。
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