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April 01, 2014

アベノミクスの総括

今日は、一行目でエイプリルフールネタとすぐに分かるブログが多く、もっと巧妙にやって欲しいものです。
日経新聞の経済教室も、「大胆な緩和が金融政策の限界説を打破した」で始まるネタでしたので、その先は読んでいません。

安倍政権になってから円安になったのは、欧州債務危機の一段落により、過剰な円高が是正されたからです。
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グラフは、ユーロ円と株価(日経平均)の相関です。
株価が為替を大きく乖離した場合には、必ず調整が発生していることが読み取れます。

なぜドルではなく、対ユーロで見るかというと、ドルも円と同じく調達(売る)通貨だからです。

アベノミクスは、円安の追い風を扇ぐ「呪文」としての効果はあったので、短期間でゴールイン(円高是正)しました。

円は引きこもらずに、海外に投資されている状態がノーマルです。
リーマンショックや欧州危機で円が日本に戻ってくると、円の評価はストリップ状態となり、「過剰な円高」が実現します。

言い換えると、日本の最大のリスクは海外のリスクオフイベントであり、遠くの危機が、「蜂に刺された程度」ではなく「どこよりも痛手」になる構図です。

日銀の緩和はブタ積みを増やしただけで、銀行の融資の伸びは緩慢です。
銀行融資の6割強を占める中小企業向け残高は、昨年末で前年比1.8%増。
輸入資材等が上がっているので、その分の運転資金が増えた、という理由だけで説明できそうです。

公共投資は一定の効果を上げています。
但し、これは増税分を垂れ流ししている面があり、財政再建に逆行しています。

とりわけ問題は、建設業界の品質低下。
東北復興だけでも手を取られているのに、余計なオリンピックもあり、民間建設では手抜きやミスが頻発。
天下の三菱地所の億ションが取り壊し、三井の新川崎も公式HPが閉鎖中という惨状です。

これは単なる人手不足ではなく工事監理の質の低下なので、外国人労働者を入れるだけでは解決しません。

過剰な円高が終わってみて露呈したのは、貿易赤字体質。
原発停止によるエネルギー輸入増はモチロンですが、得意だった電子機器関係が輸入増で赤字拡大。

部品輸出の強みは残っていますが、これまで輸出の円建てを進めてきたため、輸出の4割、輸入の2割が円建て。
円安効果は、8割がドル建ての輸入の方に大きく出てしまいます。

円高では全員が購買力増加の恩恵を受けますが、円安株高では外貨や株を持っている人だけが恩恵。
資産を持っているのは高齢者なので、ただでさえ優遇されている高齢者への「補助金」が発生し、世代間格差がまた拡大しました。

日本が閉じた国であれば、賃金の上昇で幅広い富の分配が可能ですが、企業は海外と競争しています。
デフレの最大原因は、内外価格差。
製造業においては、年収1万ドル程度の国と競わなければならないので、現状でもまだ下方圧力はかかります。
自動車工場の主役は、ファナックのロボットです。

観光業や日本食・農業分野は潜在的成長力がありますが、まだ高い賃金が出せるところまでは行っていません。

こうした点を踏まえて日本株との正しい付き合い方を考えると、
①下げ過ぎた時だけ買う、②高配当のものをじっと持つ、の二つが候補となります。

J-REITは②に該当するので、まあまあ底堅いのでしょう。

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