AT&TがDirecTVを買収
ディールの概要は、「米AT&T、ディレクTVを485億ドルで買収へ(ロイター)」。
しかし、昨日19日のNY市場では、両社とも株価は下落。
特にディレクTV(DTV)は84.65$と、合意された95$に対して10%以上もディスカウント。
当局(FCC:Federal Communications Commission)の承認が得られるのか、市場は慎重な姿勢のようです。
DTVの株価は年初の70$から短期間に2割強も上昇しているので、今買うと、1割儲かるか2割損するか、というギャンブルになっているようです。
この買収劇の伏線は、2月に発表された、CATV業界1位のComcast(コムキャスト)による第2位のTWC(タイムワーナーケーブル)の買収。
これが実現すると、合計で加入契約数は3000万。
DTVは全米で2000万。
これに、ATTの有料TV事業「U-verse」の600万を加えて2600万。
巨大な新コムキャストの誕生は、それに対抗するATT=DTV連合が必要という大義名分を成立させます。
しかし、コムキャスト=TWCの件も、今は審査中。
コムキャストによるTWC買収は株式交換方式で行われ、TWC株式1株につきコム社株式2.875株を割り当てます。
現在の株価は、コムキャストが50.9$、TWCが138.43$と、どちらも2月より下がっていますが、DTV同様に、TWCも理論値の146.3$(50.9$×2.875)を5%ほどディスカウント。
こちらも、承認されないリスクが織り込まれているようです。
当局としては、公正な競争と合理化によるユーザー還元の実現がポイントでしょうが、手続きが先行している「コムキャスト=WTC」が認められれば、ほぼ「ATT=DTV」も当確の流れとなりそう。
そうなるとATTが巨大になるので、孫さんの「ATT、ベライゾンの二強に対抗する勢力が必要」という主張が力を増し、スプリントによるTモバイル買収が認められる可能性が高くなるという理屈になりそうです。
今やネット&通信会社は、電力や水道同様に公益産業のようなもの。
規制当局への上手な、いや誠意あるアピールが鍵になりそうです。
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