国債暴落必至?
5月7日のブルームバーグ。
「国債暴落必至、日銀の「不都合な真実」潜在成長率低下で-早川氏」
早川氏は元日銀理事。
黒田さん就任のタイミングで、1年後輩の如才なさそうな中曽氏が副総裁になり、学究肌の早川氏は富士通総研に天下りました。
古巣の日銀を批判しているというよりは、財政改革が進まないリスクを政府に問い質しているというスタンスが強く、ごもっともな見方だと思います。
早川氏が1月に行った講演がyoutube上にあり、またその書き起こしと資料も公開されています。
個人投資家が押えておかなければならないマクロ環境が、流石に上手く纏まっているので、一読をお勧めします。
日本経済の現状は、コストアップによって供給力が減少。
結果的に、需給ギャップが解消して人手不足、人件費アップとなり、物価が上昇。
アベノミクスの金融緩和、公共投資増もあって、何となく良さそうなムードが先行するものの、貿易赤字による需要減とコストアップによる供給減少で需給マッチングする姿は、いわば仮想景気回復。(だから株価は上がらない?)
この機会に痛みの伴う構造改革や財政支出削減も進めるべきですが、そこは先送り。
良いとこ取りの政策を先に進めれば、本来は国債価格が下がる(金利は上昇)ことで財政再建への圧力がかかるはずですが、日銀が大量に買い取って価格維持するモラルハザードが発生しており、国債市場には大きなストレスが生じている。
このままだと、この軋(きし)みはいずれ一気に解き放たれ、国債暴落という「地震」が起こる。
そもそも2%のインフレで長期金利0.6%が成り立つはずはなく、このまま物価上昇が進めば、2%インフレが前提のアメリカと同じ2.6%程度へ金利上昇圧力がかかる。
そうなれば、長期国債を持ち続けている地銀等は破綻し、日銀にも巨額の含み損。
そんなことは誰も望んでいないので、せめてインフレ率1%で長期金利1.5%とか、普通の頭で理解できる目標設定で市場と対話しないと大変なことになりますよ、というお話だと私は理解しました。
デフレ脱却のスピードが速ければ、それだけ残り時間は少ないということにもなります。
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