メガバンクは苦しい
金融は経済の体温。
メガバンク決算が出揃いましたが、最も収益性(ROE)が高いと言われる「三井住友FG」を概観したいと思います。
史上最高益とは言っても、EPSは前年度の586円→611円と、+4%。
外部環境が本格的に好転しているのなら、もう少し伸びそうなものです。
そして今期予想は497円と、19%ダウン。
今日の株価は3%売られて4059円。
PER8.2倍、配当利回り3%とバリュエーション面で割高感はありませんが、成長の見通しに欠けると見られたようです。
銀行本体の中身を見ると、業務粗利益が国内1兆5580億円、海外が4460億円。
依然国内が8割を占め、国内・海外とも1%程度の増加です。
海外投資家が注目する国内の預貸金利鞘は、24年度が1.49%から、25年度は1.37%と悪化。
しかも上期1.40%→下期1.36%と、底が見えていません。
総貸出金は3兆6000億円増えましたが、ほとんど(3兆円)が海外関連。
そして、24年度に1138億円もあった債券売買益は、7億円に激減!
日銀によって国債市場から閉め出され、国内融資に活路を求めたいものの資金需要が少なく、採算は悪化。
傘下のSMBC日興證券が昨期より良くなるはずもなく、いくら海外が必死に頑張っても全体でプラスの数字は作れない、といったところかと思います。
銀行決算からは国内民間需要が少ないと読めるのに、現実には人手不足が起こり、ファミレスでは高額メニューの売れ行きが好調です。
そもそも、「国内の資金需要が少ない→マネーに人気がない→安売り→金利と利鞘低下」というサイクルは日本にとって目新しいものではありません。
アベノミクス以前、国内で不人気(低金利)な円も、為替市場ではデフレによる円高で人気(?)でしたから、考えてみれば、これでバランスが取れていました。
今や為替市場が正常化して円安になったことで、輸入物価への上方圧力がかかる一方、貿易赤字は増え、消費増税も相まって悪いインフレに向かっているという見方も有力です。
景気が良かろうが悪かろうが、これから通貨の価値が下がっていくと思えば金離れは良くなります。
人々は口には出しませんが、将来のインフレを受け入れようとしているのかもしれません。
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