なぜ米長期金利は上がらないのか
先週金曜の好調な4月雇用統計(雇用増288千人)にも関わらず、その後のNY株は軟調で、長期金利は上がるどころか半年振りの低水準。
アメリカ経済は穏やかながらも復調していくのではなかったのか。
金利上昇、ドル高に賭けたヘッジファンドは苦しくなり、犯人探し(?)が始まっています。
WSJの「Stubborn Treasury-Bond Yields Touch a Low」から、グラフを拝借します。
債券のポジションを見ると、ショートが非常に多い状態。
金利は上がるに決まっているでしょ、という思いが強すぎると案外上がらないものですが、とはいえ投機的なポジションの偏りだけで説明するのは無理があるような気がします。
ウクライナの影響もモチロンあるでしょうが、だったら株価ももっと下がって良いはず。
テイパリングは着実に進んでいるのに債券価格が逆に上がる傾向なのは、やはり相当の実需があるものと思われます。
ちなみに主要金融機関による年末の金利予想は、3.25%~3.75%が並んでいますが、現状では3%さえ遠い壁に見えます。
個人的な感覚としては、アメリカ経済がリーマンショック前に戻る、という楽観シナリオの修正が起こっているように思われます。
確かに株価は戻ったが、長期金利は今後10年間を見据えて取引されるもの。
株や雇用が瞬間的に戻っても、かつてのような高い成長が長期的に持続するとは見込めないのではないか。
ビル・グロスが言った「ニューノーマル」や、サマーズの長期停滞論が起こりうるのではないか。
といったような心理がありそうです。
個人的には、3%を越える水準なら徐々に株から債券ETFへシフトを進めたいと思っていますが、同じような思惑の人が多いから実現しないのでしょうか。
年末の金利がどうなっているか、注目されます。
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