緩和マネーは寝ている
一方、M2(マネーストック)の量は、FRBの積極的な緩和策によって大きく増加しています。
マネーストック(M)と貨幣流通速度(V)、GDP(G)の関係は、MV=Gですから、V=G/M。
分子GDPの伸びよりも、分母のマネーストックが大きく増えれば、Vは下がります。
図体は大きくなっていても動きが遅ければ同じ運動量という方程式です。
金融危機が起こった2008年を起点に考えると、アメリカのGDPは2013年に名目で1.14倍になっていますが、一方のM2は、同期間に1.34倍になっています。
2008年当時の貨幣流通速度は「1.8」で、これは歴史的にも標準範囲ですから、現在の「1.55」を「1.8」に置き換えると、必要なM2の量は14%ほど少なく済むことになり、その額は約150兆円。
2012年9月以降、QE3によってFRBが買い取った国債と住宅債券(MBS)の総額は、2014年5月までで約167兆円と、大体同じ。
今の「金回り」が2008年より極端に遅いとは考えにくく、むしろ使われずに「寝ているマネー」が多いから、貨幣流通速度が実態よりも遅く計算されていると考えた方が腑に落ちます。
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