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July 13, 2014

書評「LIVE講義 北朝鮮入門」

今日(13日)も北朝鮮は日本海へ向けてミサイルを発射しました。

2011~2013年にかけて、北朝鮮、中国、韓国の指導者が相次いで交代し、朝鮮半島を巡る政治的な情勢は変化。
現在は、激動の一歩手前にいるという可能性を考えておく必要があろうかと思われます。

北朝鮮に関するテキストを探した結果、「LIVE講義 北朝鮮入門」を、KINDLEで買いました。

本書は2010年発行のため、金正日死後の最新情勢に対応していないのが残念ですが、基礎知識としては十分に良く纏まっています。

最近の構図を整理してみると、中国は北から南、韓国は米から中、北は中から日へと視線を変えており、肝心のアメリカは視点が定まっていない印象です。

朝鮮戦争当時に結ばれた米韓相互防衛条約により、韓国には米軍が駐留していますが、いざという時にアメリカが本気で守ってくれるのかどうか、韓国には不信感があるようです。

また、この国の伝統的な事大主義的思想から、大統領を筆頭に、中国依存を強める勢力が優勢。

1953年生まれの習近平は朝鮮戦争を知らず、「血の友誼」と言われた中朝関係に拘る世代ではありません。
何かと面倒くさい北よりも、まずは韓国を取り込む方が簡単そうだと考え始めたようです。

韓国を支配下に置き、在韓米軍を一掃あるいは弱体化すれば、軍事的緩衝地帯としての北の役割は大きく低下します。
北への懐柔も、韓国の費用でやれば安上がり。

新たな北の若輩指導者は昨年末、実質ナンバー2と見られていた張成沢(チャン・ソンテク)を粛正し、銃殺。
張成沢は中国とのパイプが太く、ある中国高官は、「青二才の金第1書記が中国と何の相談もなく一方的に親中派の張氏を粛清した」と語った(東亜日報)と報道されています。

内部抗争の結果、中国との関係を冷やした北は、拉致問題を餌に日本との駆け引きを再開しましたが、日本はアメリカの意向を無視した大盤振る舞いは出来ません。

核兵器を持つ北が、八方塞がりで暴発したら、どう対応するか。
あるいは近い将来、朝鮮半島全体が中国の支配下に収まった時、どのように軍事力のバランスを維持して地域の平和を守るのか。

日本が集団的自衛権の行使が不可能なままだと、米軍の戦略オプションは限定されてしまいます。

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