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August 20, 2014

書評『世界を変えた10冊の本』

1000円クーポンが期限切れになりそうだったため、中身を良く確認もせずに慌てて買ったのが、池上彰氏の「世界を変えた10冊の本」
著者の作品に外れは無いだろうというブランドの力です。

本書は単なる書籍紹介を超えて、現代世界の対立の構造を描き出そうという大きなコンセプトの元に構成されていると思われますが、その目論見は成功しています。

まずは『アンネの日記』。
今もイスラエルはハマスと交戦状態にありますが、この本があるからイスラエルの暴力を世界は強く非難できない、と池上氏は分析します。

アンネはユダヤ人ですが、ユダヤ教から派生した二大宗教の教典、 『聖書』 と『コーラン』。
そして宗教が、いかに資本主義に貢献したかを見つめた、M・ウエーヴァーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』。

ユダヤ人を虐殺したヒトラーは、世界で最もケインズ理論を実践で成功させたとも言われていますが、『雇用、利子および貨幣の一般理論』。

古いカトリック的価値観と今も対立しているのが、ダーウィンの 『種の起源』。

プロテスタントが、迫害から逃れて建国したのがアメリカ。
それを攻撃するイスラム原理主義の経典は、サイイド・クトゥブの『イスラーム原理主義の「道しるべ」』 。
現代アメリカに残る原理主義(?)、茶会派の拠り所は、フリードマンの『資本主義と自由』。

さらには、ロシア革命を生んだ マルクスの『資本論』と、環境運動のさきがけとなったレイチェル・カーソンの『沈黙の春』。

10冊の本と言うよりは、どれも現代社会の骨格を成している思想体系。
筆者の中では、アンネの生涯は思想にまで発展しているという評価なのでしょう。

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