米国金利の振り返り
期待とは逆に長期金利はズルズルと下がり、夏には節目の2.5%も割り、持ち堪えきれなくなったショートカバーで2.3%台。
物価上昇率が平均2%の国で2.3%じゃ買う意味がないだろうと、さすがに反発。
今は2.5%ですが、特に高いとも安いとも言われなくなりました。
年初の3%は何だったのかという感じですが、正当化するとすれば、今の方が世界的なデフレ感が強いということでしょうか。
これは物価連動国債(TIP)の動きを見ても、裏付けられます。
次は、米国2年もの金利の5年チャート。
為替相場は、長期金利よりも2年金利への相関が強いと言われますが、2010~2011年頃の方が、今よりずっと高く推移していました。
しかしながら、当時は金利差によるドル買いなど誰も言わず、80円前後の円高。
2009年にギリシャの嘘が発覚して以来、なかなか収束しない欧州債務危機によって投資マネーは萎縮。
特に日本から欧州への投資は巻き戻され、2012年半ばにはユーロ円が96円。
誰の債務でも無いゴールドは、グイグイ上昇しました。
これが2012年も後半になると、ドラギECB総裁の「何でもする発言」もあってユーロ相場が落ち着きはじめます。
ドルの2年金利も変動が殆ど無くなっていたところに、安倍内閣の円安宣言はタイミング良く効きました。
今後、FRBの利上げによって更にドル円が上昇し、これまで通りアメリカの物価上昇率が日本より高い状態が続くなら、購買力平価との乖離が広がるので、どこかで円高への巻き戻しが起こるというのが歴史の教え。
日銀のシナリオ通り2%のインフレが継続するなら、円高方向に戻りにくい状態になりますが、その時日本の長期金利がどの水準で安定するのか、あるいは円安が行き過ぎて止まらなくなった時に有効な策があるのか、といった大きなリスクを抱えることになりそうです。
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