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October 30, 2014

予定どおりにQE終了

FOMCでは、市場予想通り、量的金融緩和第3弾(QE3)による証券購入の停止が決定されました。
これは量的緩和の終了ではなく、量的緩和「拡大」の終了。

蛇口が締まって追加の水は来なくなりましたが、バケツの中はMAXで、FRBのバランスシートは、4.4兆ドルにまで拡大しました。

Frbbsグラフは、FRBのサイトで公開されているものですが、金融危機前と比べると、そのバランスシートは4倍以上です。

これをどう減らしていくのかは、利上げとは別の問題で、その道筋は示されていません。

単純に言えば、これまでと逆に債券を売って市場から資金を回収すればFRBのB/Sは縮小しますが、これは特に新興国に大きなショックを与えるかもしれません。

そもそも買い取った債券には満期があるので、放置しておけば徐々に減っていきます。

FRBが保有する証券は、大雑把に言って6割が国債、4割が住宅ローン担保証券(MBS)。
国債は3割弱が残存10年超で、MBSはほぼ全部が10年超。

全体のデュレーション(残存期間)は6~7年と推定されるので、減るに任せておけば2020年頃に元に戻るのかもしれません。

しかしながら今回の声明文では、『米機関債と住宅ローン担保証券の償還した元本を住宅ローン担保証券に再投資し、保有国債の償還金を入札で再投資する既存の政策は維持する。』とあるので、当面は自然に蒸発した分が補充されて水位は変わりません。

昨日のNY市場で金利は全般に上昇し、長期金利は前日の2.21%から2.32%へ。
2年金利も、ピークの0.58%→ボトム0.3%→0.48%と、下げた分の3分の2ほど戻しました。

FRBがタカ派になったというより、今月の相場軟調で市場が勝手にハト派に寄り、FRBは経済指標どおりに淡淡と進んでいるので、キツク見えるといった印象です。

7年かけて増やしたバケツの水は容易には元に戻せないので、その間にまた危機があれば、世界に拡散した水が安全な場所を求めて慌てて移動する、といった事態が繰り返されることになりそうです。

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