英国企業は配当が高い?
今回は、楽天証券取扱銘柄を概観します。
まずは、金融のHSBC。
HSBCというと、まず香港が浮かびますが、親はイギリス。
PER12倍で、配当利回り4%。
表示されている数字はマズマズですが、直近の第3四半期決算では、為替不正操作疑惑をめぐる和解引当金3億7800万ドルなど、特別損失が17億ドル計上され、税引き前利益は前年同期比12%減。
投資する場合は、一過性損失を除いた実力EPSを良く見極めることが必要と思われます。
同じく金融のロイズ(LYG)。
ロイズは2008年の世界的金融危機で公的資金による救済を受けており、現在は英政府が株式の40%を保有しています。
昨年から黒字に復帰はしているものの、通常のバリュエーションで投資判断するのは難しそうです。
次も金融のバークレイズ。
プレミアリーグスポンサーとしてサッカーファンには耳慣れた名前。
金融危機の際、政府に頼ったロイズに対し、こちらは自力で資本を集めて乗り切りました。
PER41倍表示ですが、今期見通しに基づけば9倍。
見込み通りであれば増配の可能性もありますが、新たな自己資本基準による資本不足も懸念されており、予断は許さないという部分でディスカウントされているようにも見えます。
いわゆる「アーム・アーキテクチャー」など設計パテントを開発・保有してフィーを取るビジネス。
iPhone6も、ARM設計を使用しています。
表示されている数字だけでは投資判断が難しく、また業績を予想するのも一般投資家にはハードルが高いように思われます。
7-9決算は概ね市場予想通りと報道されていますが、2010年のメキシコ湾事故の決着はまだ付いておらず、賠償金増額の可能性はまだ残っています。
仮に最大で2兆円と言われているペナルティが追加で課されると、BPの引当金4000億円を越える1兆6000億円は、ほぼ年間純利益に相当します。
鉱山大手のリオ・ティント(RIO)。
元々は、イギリスのRTZ とオーストラリアの CRA が二元上場会社を形成して誕生し、英、豪、米で取引されています。
株価は、鉄鉱石と銅の価格に大きく左右されますが、現在は年初来安値圏での取引と言って良いかと思います。
オランダとイギリスに上場するユニリーバ(UL)。
「LUX」や「DOVE」ブランドは、日本でもお馴染みです。
直近決算では、売上の6割を占める新興国が不振。
特に中国では景気鈍化や節約志向により、売上が2割減。
急激な収益回復は難しそうですが、経費削減や経営の効率化で老舗ブランドのしぶとさを見せられるかどうか。
薬品のグラクソ(GSK)。
PER17倍、配当利回り5.3%ですが、配当性向は91%と利益回復が鍵です。
エボラ薬開発などのトピックはありますが、主力のぜんそく治療薬の販売が米市場で鈍化。
中国の贈賄事件では罰金500億円を支払うなどコンプライアンスリスクも顕在化して、利益は伸び悩み。
当然、中国での売り上げは大幅に減少しており、10億ポンドの経費削減計画を発表するなど、苦しい経営状況です。
同じく薬品のアストラゼネカ(AZN)。
配当利回り2.4%。
PER91倍表示ですが、今期見通しに対するPERは18倍。
直近四半期決算は、EPSが前年同期比13%減ったものの、1.05$を確保。
売り上げは5%増えて65億ドルと、予想平均を上回りましたが、その要因は他社ジェネリック薬品の投入遅れという敵失なので、楽観はできません。
ボーダフォン(VOD)。
過去には日本の携帯事業をソフトバンクに売却し、最近はアメリカの合弁事業をベライゾンに売却。
キャッシュリッチになったため、配当も大盤振る舞いで6.9%。
しかし、巡航ベースでのPERは28倍。
表示されている配当金額は予想EPSの2倍になっており、売却益を除いた実態バリュエーションを十分把握する必要がありそうです。
同じく通信サービスのBTグループ(旧ブリティッシュ・テレコム)。
PER16倍、配当利回り4.1%。
さすがに安定していそうな数字です。
年初来安値は58$なので、現在の59$台は安値圏ではあります。
面白みがある銘柄とは言えないので、買うとすれば、配当と為替狙いでしょうか。
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