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November 05, 2014

シェールオイルに喧嘩を売るサウジ

Oil1105下げ止まらない原油価格。
WTIは節目の80$を大きく割って77$台。

これから需要期の冬になりますが、年内70$を覚悟すべし、という声が主流になっています。

サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは、アジア向けの原油販売価格をバレルあたり0.95ドル引き上げ、米国向けを0.45ドル値下げしました。

素直でお人好しな日本人から見ると、アメリカには下げ、アジアには上げるという露骨な価格政策は「何だかなあ」という気がしますが、アメリカでのシェア維持、薄利多売を狙っていると報道されています。

もっと直接的に言えば、敵を潰しにかかってきている印象。

例えると、サウジは巨大なモールを持つイオン。

シェールオイルプレーヤーは概して中規模なので、コンビニや成城石井、せいぜい「いなげや」クラス。

これまでは、それなりに共存していた住宅地に、イオンが殴り込み。

『うちも24時間営業にしました。値段は全て最安を目指します。
え、隣よりも高い?言ってください、さらに下げますから。
うちは仕入れ価格が安いから出来るんです、なんたって自分の畑持ってますから』

シェールオイルの損益分岐点は諸説あり、「畑」によるばらつきも激しいようですが、最近実施された米バーンスタイン・リサーチの調査によると、「原油価格が80ドルを切る水準まで下落した場合、米国のシェールオイル生産の3分の1は採算割れとなる」としています。

国際エネルギー機関(IEA)は、採算性を維持するために原油価格が80ドルを上回る必要があるシェール田は4%程度と試算しており、両者には大きなずれがありますが、バーンスタインは「今回の試算はIEAも含め他の機関によるどの試算結果よりも精度が高いと考えている」と語っているので、これを信じましょう。

CftcoilCFTCのポジションを見ると、歴史的には、まだまだ過剰。

世界的な金融緩和や地政学リスクを考慮すれば上がるのが当たり前という意識が、ここ数年の過大なロングポジションをもたらしていたのかもしれません。

原油価格の低下は、産油国から先進国への富の移転を意味するので、我々には朗報ですし、ISISの資金源にダメージを与えることになりますが、一方で新興資源国の政情を不安定化する負の側面にも注意する必要がありそうです。

Financial Timesは、原油安がナイジェリアの来年の大統領選に大きな影響を与えると報道しています。

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