シカゴ筋ポジションの確認(1/20時点)
(1月20日) (1月13日) (増減)
カナダドル ▲29080 ▲21179 ▲7901
スイスフラン ▲9809 ▲26444 +16635
ポンド ▲45708 ▲37140 ▲8568
円 ▲77886 ▲94625 +16739
ユーロ ▲180730 ▲167847 ▲12883
NZドル ▲1817 ▲1776 ▲41
先週のスイスフランショックを反映し、スイスフランショートは大幅に減少。
同じく調達通貨と見られている円も、ショートを減らしました。
現在、ユーロ/スイスフランは0.99近辺と、ほぼパリティ。
秘密主義の銀行への風当たりも強くなり、スイスが欧州内で独自の道を歩むことは難しくなっています。
今後更にフラン高が進むなら、ユーロを使用するという選択しさえ、ありそうです。
ドル円は、相変わらずドル実需があり、ユーロ/ドルの下げもドル高要因ですが、一方でFRBの利上げ先送り観測と、それに伴う米金利低下によってブレーキがかかり、レンジ相場だと見られます。
22日、ECBは本格的量的緩和策を宣言しました。(ECBが量的緩和決定:ロイター)
事前にかなり織り込まれていたとはいえ、為替相場は大きくユーロ安で反応しました。
ユーロ/円は、先月の高値149円から132円に急降下し、昨年10月の136円も下回りました。
バズーカ砲を撃ち合って元に戻るなら、お互いに弾の無駄かもしれません。
今後大雑把に言って1兆ユーロが市場に供給され、ECBのバランスシートは1.5倍に拡大する見込みで、ユーロ圏GDP比では20%→30%になる感じです。
既にGDPの60%まで拡大したバランスシートを持つ日銀。
緩和の先輩である日本の例で見ると、物価は金融政策よりも、石油価格に連動しやすいことが徐々に明らかになっています。
株価はユーロベースでは上がるでしょうが、アメリカに比べると欧州での個人金融資産に占める株式比率は低く(米33%、欧17%、日10%)、またピケティに代表されるように、格差に敏感な国が多いので、日本と同じように通貨安への批判も出るかもしれません。
市場の反応が示しているように、量的緩和は為替安政策であり、それ以外には、さほど効き目がないというのが日本の実験結果です。
ユーロ安で最大の恩恵を受けるのはドイツでしょうが、それが直接ギリシャ等に波及するとは思えず、結局は「人間が動く」ことになり、ドイツへの出稼ぎ希望者が更に増えることになれば、政治的に問題化しそうです。
日本でも円安の恩恵を地方に広げるのに政治家は苦労していますが、国境線があるユーロ圏で、ドイツ企業の恩恵を他国が享受するのは更に難しいはずです。
ユーロ安効果の限界が見えてくれば、なぜドイツは自分の庭先ばかり綺麗にする財政健全化を優先して必要なインフラ投資を行わないのか=ドイツはもっとユーロ圏各国からモノを買え、というプレッシャーは高まるのではないでしょうか。
これに対してドイツが簡単に「そうだな」と言うとは思えず、「そら見たことか、お前たちもドイツ並みの構造改革をしろ」と突き放すような姿勢を取ると、せっかくの緩和が亀裂を深める結果にもなりかねず、まだまだ欧州の緊張は続きそうです。
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