水膨れした資産価格の是正という潮流
今年が始まって約2週間。
米国市場(ドルベース)でのスタート状況は、
・株式(S&P500)▲2%
・長期債 +6%
・金(GOLD) +8%
ドルが強いのに、金が猛ダッシュ。
多くの人にとって予想外と言えそうです。
原油安で浮いたお金でインド人は金を買う。
その真偽と市場インパクトは不明ですが、原油と逆に動いても説明が付いてしまう金のキャラクターが感じられます。
FRBの金融政策は、蛇口を閉めただけで、貯まった水はそのままですが、市場は常に先走るので、これまで文字通り「水膨れ」していた資産の価格是正を始めました。
原油はその筆頭で、需給が緩いのに依然として買い持ちが優勢ですから、崩しやすいと見られたものと思われます。
NY原油の大口投機玉は今も(1/13現在)、ネットで275,480枚の買い越しです。(参照:第一商品CFTC建玉)
株式市場も水膨れ是正運動に巻き込まれていますが、極端にメタボではない事が幸いしてか、今のところ減量は小幅です。
ドル円も、少し円安太り気味でしたから、過剰でない程度にダイエットが必要。
今後、原油安の影響が消費にポジティブに現れるのか、低金利が住宅市場をどの程度支援してくれるのかに注目が集まりそうです。
結局、原油は高過ぎたし、通貨への信認も過剰だったと気が付いて金は買い戻されていると解されます。
では、上がり続ける債券はどうなのか。
バブルという声もありますが、世界の低成長を反映しているだけとの見方もあります。
アメリカ経済は量的緩和という非常事態を脱して正常化に向かっていますから、ドルの信認が高まる事自体は自然です。
問題は、日欧の中央銀行が、緩和の物価への効果を過剰に評価し、「緩和命(いのち)」になってしまっていること。
今後更にゼロ金利資金をジャブジャブ提供するなら、そのマネーが比較健康体のアメリカに向かうのは止められず、米国債券は買われて、あっと驚く低金利の実現というシナリオにも備えておく必要がありそうです。
資産価格全般のダイエットについては、既に一定の達成感はありますし、スイス中央銀行のギブアップ宣言も一つの終わりを意味していますが、最大の懸念要因は、日欧の中央銀行が何やらかすか分からん、ということ。
かつての中央銀行は市場の振幅を沈静化する役割だったように思いますが、今や巨大なリスクファクターです。
Comments