米国長期金利が上昇
CFTCの米国10年債ポジションは、次のとおりです。
これを見ると、売り越しが最大だったのは昨年末の26万2千枚で、2014年中で最大でした。
そこから2月10日の4万4千枚まで減り続けているので、ショートカヴァーによる相当の買い圧力(金利下落プレッシャー)があったはず。
実際、長期金利は昨年末の2.17%から今月上旬の1.6%まで下げたので、これとは整合します。
米国金利を動かしたと思われる大きな要素としては、1月22日のECBの量的緩和。
ドイツ10年金利は、公表前日1月21日の0.52%から、1月30日の0.30%まで下がり、その後は少し反発して0.37%です。
昨年末にDOWが18000$台を付けるなど、好調な株価を背景に大きく債券を売ったものの、年明けはECBの緩和観測等を材料にショートカバーが進み、実際にドイツ国債がピークアウトしたことを機に、再び売られ始めているという解釈でしょうか。
なぜ昨年末に、これほど債券のショートポジションが増えたのかは判然としませんが、年末特有の事情があったのかもしれません。
FRBがインフレ率を見る指標として好むのは、CPIよりもPCE(personal consumption expenditures)と言われますが、そのPCEコアインデックス(食料・エネルギー除く)は、ここ数ヶ月1.3%~1.5%近辺。
長期金利が、それより1%くらい高い2%台前半の水準で落ち着くなら、まあ妥当という気はします。
なお、原油価格の底も、債券のピークとほぼ同じ先月末から今月初め。
燃料安と低金利を背景に買い進まれていたと思われるアメリカの電力株も、同時期にピークを打っています。
低金利化(債券高)、原油安、電力株ハンティングという3点セット(?)は、ひとまず2週間ほど前に一区切りがついたように見えます。
これを、「金利の正常化に伴って異常な原油安も同時に終わりつつあり、だから株価も上がっているのだ」というポジティブな理解は有り得るでしょうが、またすぐ戻ってしまうかもしれないので、慎重に行くしかないところだとは思います。
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