リー・クアンユー氏が死去
リー・クアンユー氏が、シンガポール初代首相となったのは、まだ35歳の時。
いくら小国とは言え、この若さでトップに選ばれるのですから、ずば抜けて頭脳明晰であったことが窺えます。
若い頃の写真を見ると、前頭葉の発達振りが際立っており、顔の半分が「おでこ」です。(おでこの広さと知能が比例していることを確信しているわけではありませんw)
首相就任後、マレーシアと連邦を形成してイギリスの支配から脱しますが、マレー人を優遇するブミプトラ政策を柱とするマレーシアと、華人の多いシンガポールは意見が合わずに独立。
とはいえ、マレーシアから水を止められたら一巻の終わりという脆弱な国。
誰が見ても、この都市国家の将来は危ぶまれたはずで、今の繁栄は、日本の戦後復興以上に奇跡的と言えそうです。
リー・クアンユー氏は、選良主義者です。
人間の能力には差があり、優れた者が全体を牽引しなければ国は衰退すると明言。
報道の自由を大きく制限したのは、彼にとってメディアの多くは馬鹿にしか見えなかったと言うことでしょう。
シンガポールでは、小学校6年生の時に『PSLE』という学力試験で、子どもの能力に応じた中学校に振り分け。
中学と高校の卒業時にも能力別コースに分けるための試験があります。
日本がそこまで厳しい選抜をしなくてもやっていけるのは、シンガポールよりは資源があるからですが、競争優位性を高めるには人材を磨くしかないことは共通です。
「リー・クアンユー、世界を語る」によれば、尊敬する中国の政治家は、鄧小平。
『私の理解では鄧小平はこう言っている。
「もし20万人の学生が撃たれる事態になったら撃て。さもないと中国の混乱は100年続く」
鄧小平は分かっていたのだ。鄧小平がいなかったら中国は内部崩壊していただろう。』
と語り、天安門事件での対応を高く評価しているのは、リー・クアンユー氏自身も、国のために何かを切り捨てるという決断を繰り返して来たからに違いありません。
そのためもあるのか、自らを政治家と呼ばれることを好みませんでした。
自分を政治家だと思う人間は精神科医に診てもらった方が良い、とさえ言っています。
どう呼ばれたいのかについてハッキリとは語っていませんが、戦場の将軍のような気持ちで常に危機意識を維持していたのかもしれません。
大きな羅針盤が一つ、失われたように思います。
Comments
こんにちは。お久しぶりです。
いつもためになる情報をありがとうございます。
たまたま月初にはじめてシンガポール訪問していました。
日本はあんな小さな国から毎年一兆円も稼いでるとのことで、
あらゆる意味で驚きです。
このブログを見てあわてて私も本を買いました。
akazukinさんくらいになると、こういう重要な本は以前から読んでいらしたのでしょうか?
Posted by: yamazakidog | March 26, 2015 11:07 PM
yamazakidogさん、こんにちは。
私が最初にシンガポールを訪れたのは1987年のことですが、その時はネパールからの帰路だったので、ホテルで濁っていないお湯が出るのに安堵したことを良く覚えています。
この本は、昨年4月に購入しましたが、イスラム過激派の行動を大きなリスクとして捉えている点に、やはり先見性があったという評価になるでしょうか。
シンガポールの印象はいかがでしたか?
今後とも、よろしくお願いします。
Posted by: akazukin7777 | March 26, 2015 11:43 PM
ご回答ありがとうございます。
たしかに、読んでいるうちに「羅針盤」の意味がわかりました。
シンガポールは、狭い国土にパンパンに飽和している先入観があったのですが、
現場を見ると、逆にまだまだ発展余地があるように見えました。
日本は国土が広すぎるんでしょうね。
もしわが国にもあんな指導者が居たら、
またもう一時代築けるのではと思ってしまいます。
Posted by: yamazakidog | March 27, 2015 09:55 PM
>もしわが国にもあんな指導者が居たら、またもう一時代築けるのではと思ってしまいます。
全く同意です。
その代わり、ブログも日本語と英語の二カ国語で書かないといけないようになっていたでしょうね。(笑)
Posted by: akazukin | March 27, 2015 10:19 PM