揺れる長期金利
長期金利の振幅が大きくなっています。
昨夜NY市場での長期金利の幅は、2.23% ~2.34%。
2.34%は、昨年11月以来、半年振りの高さ。
代表的な長期債ETFである「TLT」(iShares 20+ Year Treasury Bond)の出来高は3ヶ月平均の約2倍となっており、強弱感が拮抗しています。
震源地は、やはりドイツと思われますが、ドイツ10年債金利は0.68%まで上昇。
最低だった4月20日の0.075%と比べると、利払いは9倍になりました。
現在ドイツ2年債がマイナス0.2%となっているので、これがゼロまで解消される程度の圧力はまだ残っていると考えれば良いと思います。
もう一つの金利上昇要因は原油高。
WTIは期近で60$越え。
原油安→採算悪化→シェール減産→在庫減、という価格上昇へのサイクルが、ようやく見えてきた感じです。
10%の原油安で0.1%くらい物価を押し下げるという試算が確かあったので、昨年来の原油安によるディスインフレ効果を仮に0.5%とするなら、同程度の反発があっても良い訳で、既にその一部を織り込み始めているとも感じられます。
長期金利に敏感と言えば、REIT。
米国リートETFのIYR。
高値から10%調整しての揉み合いですが、そろそろという様子にも見えます。
ドイツに近い、オランダ、ベルギー、フランスの各リート指数も、大体10%調整しました。
豪州は5%程度と、調整が浅いです。
豪州の政策金利は、1年前の2.5%から2回下がって2.0%。
これが支援材料となり、中国人による実物不動産買いもあり、値上がり率は1年で20%と、豪州株より割の良い投資となっています。
ちなみに長期チャートを見ると、まだリーマンショック前の半分ですが、これは2007年が異常だったということかと思われます。
全体として、もう一段の金利上昇プレッシャーに注意は必要ですが、各所のイールドハンティング部隊も活発になっているようです。
Comments
最近の動きは欧州の景気が意外と良くなっているからと言われていますが、ショートスクイーズに利用されているのではと感じています。
原油もアメリカの備蓄タンクが一杯で30ドル台まで下がるとの予想がたくさん出てきてから急反発しました。
リーマン前の豪州リート ものすごい値段だったのですね。
原油はどこまで上昇するのでしょうか。上値は限られていると思いますが。もし物価が上がれば黒田さんは追加の金融緩和を催促されずにほっとできるのでは なんて思ってしまいます。
Posted by: a | May 13, 2015 09:39 PM
欧州景気が思ったほど悪くないというのは確かに少しあるかもしれませんが、基本的にはマイナス金利当たり前と言って調子に乗って買いすぎた反動だと思います。
原油はショートカヴァーが主体と思いますが、シェールの供給量が増えているという現実があるので、1年後に80$なら十分な上昇だと個人的には思います。
それに、そもそも安い方が良い訳ですから、今の60$近辺の期間が長く続くのも、決して悪くは無いです。
豪州リートは、今イールド6%あるので、3%で良いなら倍だ、という感じだったんでしょうね、多分。
日銀は、不動産価格やホテル料金、建築資材や輸入品全般など総合的に物価を点検し、経済を持続的に収縮させるようなデフレマインドが残っていると本当に言えるのかどうか、よく考えるべきでしょうね。
原油価格が戻りそうな今、物価上昇になりそうと喜ぶのではなく、円の購買力を復活させることの方が重要でしょう。
Posted by: akazukin | May 13, 2015 11:03 PM