ギリシャの瀬戸際交渉で株安
週末のギリシャの国民投票宣言、続いて週明けの銀行休業(ATMは1日60ユーロまで)という事態によって、ギリシャのデフォルト→ユーロ離脱の可能性が高まったと理解され、株安が世界を一巡。
日経平均▲2.9%、上海総合▲3.3%、ドイツ▲3.6%、DOW▲1.95%でした。
今朝の為替は、ドル円は122円台50銭近辺と1円安、ユーロドルは1.121と、先週末の1.12と同水準。
弱いギリシャが抜ければユーロの価値は上がる、という理論的な見方が、ユーロ売りと拮抗する展開になりつつあるのかもしれません。
ギリシャがティプラス政権を選んだのは、うまく「ごね得芝居」が出来そうな奴だから、という理由でしょう。
欧州最古の芸術と呼ばれるギリシャ悲劇の伝統を持つこの国は、借り手は卑屈にお願いするのが当然という島国とは違い、堂々と貸し手責任を追及しました。
しかしながら今の欧州は、あまり冗談の通じないドイツに支配されています。
ドイツの戦後賠償問題を交渉材料として引き合いに出したり、度々言うことが変わるティプラスの演技にドイツ国民は硬化。
メルケルは簡単に妥協出来なくなり、次第に原則論に固執するようになっていったように見えます。
そもそもギリシャは嘘をついてユーロ圏に加入したので、いわば裏口入学。
裏口入学者が自主退学するのは正常化への道です。
ギリシャがデフォルト→ユーロ離脱に進むことを、多くの人が最悪と表現していますが、為替市場の動きを素直に解釈すれば、「いやそれって、日米に大きな影響はないし、むしろユーロは買いなんじゃ」という反応です。
株式市場の下げは、人為的な低金利で嵩上げされた分が剥げた、ということでしょう。
ギリシャのユーロ離脱はユーロ崩壊への序曲、という懸念もありますが、悲惨なギリシャの姿を見た各国がユーロにしがみつくために、きちんとルールを守るという「ドイツ化」して結束は高まる、という進展も考えられます。
ギリシャという国家の先行きは不透明ですが、ドラクマに復帰すれば今のユーロ建て負債が自動的に消える訳でも無いので、どれだけ過去の借金を消せるかが鍵と言う意味では、引き続き債権団との交渉が重要かと思われます。
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