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July 29, 2015

アメリカの長短金利から見る投資家心理

210
グラフは、青線が米10年金利(左軸)、赤線が2年金利(右軸)です。

リーマンショックの痛手から急回復しつつあった2011年は、「いよいよ元に戻れるぞ」の心理が強く、10年金利は3.6%、2年金利は0.8%までありました。

しかしその後は、ギリシャの債務危機が深刻化するなど長引く欧州債務問題もあって相場はグダグダし、「こりゃあ利上げは遠いわ」と、10年金利は2%割れ。
2年金利は0.25%と、FRBのターゲットレンジの上限付近で彷徨いました。

ところが2013年6月にバーナンキが逆噴射。
慌てた市場は、利上げを織り込もうと躍起になり、2013年末には、それぞれ2.9%、0.4%と急上昇。

2014年になると議長も交代し、いよいよ金利は上方向しかない、と読んだヘッジファンドが長期債を空売り。
ところが、雇用は増えても賃金上昇は本格化せず。

インフレの芽は容易に見つからず、債券は買われる一方。
2014年後半になると、100$を割った原油価格(WTI)が、つるべ落としのように急降下。

年初に3%だった長期金利は年末に2.2%となり、翌2015年1月、もう耐えきれないという損切りの声と共に、1.6%まで下がって、ようやく底打ち。
しかし、その後の反発も、2.5%が壁になっています。

一方の2年金利は、利上げ実行は確実に近づいているとしてFRBに敬意を表し、ジグザグ模様ではあるものの、趨勢としては右肩上がり。
2014年初めの0.4%から、じわじわと0.7%程度まで上昇。
概ね、ドル円の上昇と同様のカーブを描いています。

22(出典:http://www.m2j.co.jp/market/rates_correlation.php)

10年金利から2年金利を引いた数値を、「将来への強気度」と考えるなら、2年前の夏が2.2%、昨年夏が2.1%、そして現在は1.6%と、この1年間で、大きく弱気に傾きました。

こうして見ると、1年前の方が物価上昇率も高かったですし、利上げを受け入れようとする投資家の心構えは出来ていたのかもしれません。

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