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October 11, 2015

問題含みの日本郵政グループ上場(1)

11月4日の上場が決まった日本郵政グループ。

資本(親子)関係は以下の通りで、親一人に子供(兄弟)三人。

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今回株式が公開されるのは、親の「日本郵政」と、3兄弟の内の「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の2社。
最も利益額の低い「日本郵便」は、地方の非効率部門を抱えざるを得ず、投資家向きでは無いと判断されたのだと思います。

当初想定価格によれば、上場3社の時価総額合計は約14兆円弱となり、三菱UFJフィナンシャル・グループの時価総額を2割以上も上回っています。

今回放出されるのは、3社の発行済み株式数のそれぞれ約8%となり、合わせて1兆1000億円ほど。
当面は、親子上場の状態となります。

そもそも親子上場は、東証の斉藤前社長が、「親子上場は解消すべきだ」と発言しているくらいで、極力避けるべきもの。

現在、親子上場が見られる市場は、モスクワ、ブラジル、イスラエル(by wikipedia)となっており、資本主義の本流から外れた現象であることは明白です。

なお、政府の売却方針は、下図のとおり曖昧です。

Photo_4

まずは金融子会社2社を、「保有割合が50%になるまで段階的に売却」。
そして、「金融2社株式は、その全部を処分することを目指し、(中略)できるだけ早期に処分」と、2段階で記載されています。

この宣言通り、2段階目の最終形となるなら、親子上場は解消されます。
しかしながら、霞が関文学による「目指す」は、「永久に努力する振り」という意味でもありそうです。

仮に「目指し」が実現してしまった場合には、別の懸念が発生します。

最終形では、「日本郵政の3分の1、および日本郵便の全部を除いて全て売却」ですから、その時の「日本郵政」は、郵便事業とその他事業だけ。
毎年の利益は、現在の数字を基にすると、4826億円から315億円と激減。

いくら金融2社株式の売却代金が入るとは言え、日本郵政は「一番稼ぎの悪い息子だけを持つ孤独な親」となってしまいます。

上場を避けたはずの「日本郵便」を保有するだけとなった「日本郵政」株主の運命はどうなるのか。
頭が混乱します。

だからこそ「目指す」のであって、「50%までで売り止め」と行間を読むのが大人だよ、ということなら、少なくとも国家が国民に堂々と売るべき商品では無いでしょう。

こうした、もやもや感を避けるためには、

①「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」だけを売る
②三社を継続保有する「日本郵政」だけを売る

このどちらかにすれば、大分スッキリしたはずです。

しかしながら、「復興財源確保法」では、「日本郵政」株式の売却収入を復興財源に充てると明確に書いてあるので、①案では同法に(文言上)抵触するという指摘があるようです。
しかしこれは、「グループ」と一言付け加えれば良いだけのように思われます。

②案はどうか。
「日本郵政」の時価総額は、仮条件1100~1400円に基づけば、4兆9500億円~6兆3000億円。
3分の1は売れないので、売却可能額(3分の2)は、3兆3000億円~4兆2000億円。

2013年1月の復興推進会議決定によって、東日本大震災の復興のために4兆円程度を追加するとされていますので、日本郵政1社では目標額に達しない恐れがあります。

いずれにせよ、「日本郵政だけでは足りない→親子混ぜるしかないな→親子上場と批判されるぞ→「目指す」で逃げろ」というような思考の痕跡が感じ取れますが、もしそうだったとしたら、あまりに志の低い発想です。

整合性が取れていない、各種の方針。
矛盾を孕んだこのスキームで国民が広く保有し、将来大きな問題に発展しないのだろうかと懸念されます。

次稿では、個別のバリュエーションを概観します。

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