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December 13, 2015

ドル円は利上げ後どうなるのか

過去のFRBの利上げと、その後のドル円推移です。

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右側に、利上げから6ヶ月後、1年後に、ドル円が直前月と比べてどちらに変化したかを表示しましたが、ドルから見て、半年後が1勝6敗1分、1年後は2勝6敗と、ドルは劣勢です。

全8回のグラフです。
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力強く上がったのは82年のケース(緑)くらいですが、実はこの時の金利は、1年後には利上げ前より下がっているので、むしろ金利を下げたらドルが上がったケースとも言えます。

なお、ドルの下落率の単純平均は、8.4%。
120円が110円になるようなイメージです。

ちなみに、80年代前半というのは、アメリカがベトナム戦争後の酷いインフレに苦しんでいた時期で、1ヶ月で1%の利上げもある状態でした。

81年から始まるレーガン政権下で再任されたFRBボルカー議長は、強い引き締め策によってインフレと戦いましたが、当然ながら景気は冷え込み、最高19%の政策金利になったドルは高騰。

ドル円は81年の200円から、82年秋に270円にまで円安となり、米国輸出業はガタガタ。
この混乱が、85年のプラザ合意による、強引なドル安政策へと繋がっていきます。

上記の82年のケース(利下げ→ドル高)は、インフレが少し収まってドルの価値が戻った事例と言えそうです。

下のグラフは、まだ記憶に新しい、一番最近の利上げ局面(2004年~)の米金利とドル円です。

20042007

2004年7月に、1.0→1.25%となったFF金利は、2年後の2006年7月に5.25%まで上昇します。
この間のドル円は、110円から120円まで円安が進行しましたが、リーマンショックが起こると、半年あまりで一気に100円まで急降下し、80円に向かっていきます。

この時の120円は、世界中で流行した円キャリーによる「円安バブル」だったとの認識が今では主流で、実力よりも相当に「嵩下げ(?)」されていたと気づかされました。

当時は私もFXで円売りしていましたが、周囲は「円安で儲かり、スワップも手に入り、やらない奴は馬鹿」といった雰囲気で、完全にリスク感覚が失われていました。

現在は、そこまで円安一辺倒のムードとは思いませんが、ミセス・ワタナベの「ドル押し目買い一本足打法(?)」にも賞味期限はあるのではないか、とは感じます。


次に、ドル円8年周期説を確認します。

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ドル円の上昇と下落は、3~4年置きに交互するという考え方ですが、矢印は、概ねそのような動きを示しています。

特に最近の7年間は、綺麗なV字波形となっており、現在の円安基調は、「リーマンショック前の120円から78円になった円高の反動」に見えます。

このグラフでは、25年間で8回の上下動となっており、8年というよりは6年周期に近く、ちなみに現在は2012年12月衆院選から3年が過ぎた折り返し地点に当たります。


3番目に、購買力平価(PPP)です。

Ppp1206001

本グラフ上でのPPPには3つあり、上から、消費者物価、企業物価、輸出物価。

現在の消費者物価は129円なので、そこまで上がっておかしくないとも言えますが、過去において実勢レートがこの赤い線に触れたのは、さきほどの80年代前半だけです。

歴史的に見ると、真ん中の企業物価ライン(緑)と実勢レートが概ね重なっており、そこから大きく乖離すると、戻っていきます。

現在の122円は、緑の99円から2割以上の円安ギャップが発生しているので、遠心力よりは引力の方が働きやすいレンジにいると思われます。


では、なぜ利上げするとドルが下がるのか。

第一に考えられるのは、いわゆる「Sell the Fact」。

下図は、主要通貨に対するIMMドルポジション合計の推移です。

Immdollar2015120601(出典:https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/research/d-indicators/)

2005年以降のデータですが、最高水準にあるドルロングポジションは、どこかで解消される必要があります。

ドル円ポジションだけだと、1990年からのデータがあります。

Immdollar2015120601(同)

こちらは、2007年水準から見るとまだ円安余地があると言えますが、最近は、マイナス金利のユーロが調達通貨の主役となっており、当時ほど円キャリーが流行する兆しはありません。

無論、実需の米ドル買いが上記のドル売り圧力を上回れば、為替はドル高方向です。

日本の経常収支が、今年上半期に7兆円近く改善(黒字化)している環境については、円高材料という見方と、最近はドルで稼いでドルで持っているだけだから影響は小さい、との見方が対立します。

GPIFの外貨投資がピークアウト、というのは厳然たる事実。
H26/3期に55%あった国内債券比率は39%になり、目標の35%まで僅か4%です。

「民間の外債投資は今後も高水準」なのかどうかについては、そうかもしれないし、一旦円高に振れ始めたら急速に萎むかもしれないし、決め付けは出来ないとしか言いようがありません。

第二は、インフレ通貨は下がるという原則。

今後ともFFレートが上がっていくとすれば、それはインフレが進むということですから、ドルの購買力は下がって行き、長期的にはドル安になるのが自然。

為替相場というのは、短期的には金利に引かれて動きますが、それはインフレ通貨を上昇させることになるので、どこかで一気に調整される必要が生じます。

リーマンショックを挟んだ円キャリーと、その巻き戻しの動きが典型ですが、私も円高を甘く見て、利益を吹き飛ばしました。

その部分を拡大すると、下記の通りです。

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ドルの反落幅(円高)が大きすぎてドル円が80円を切り、製造業からは悲鳴が出ましたが、だからこそ逆バネが大きくて、今の円安を実現させたという気もします。

もちろん、為替相場は理屈では対応できない場合が多く、仮に購買力で100円が正しくても、130円になってから100円かもしれません。

いずれにせよ、株式市場の動向も含めて今後の円高リスクは高くなっており、絶対に軽視してはいけないと感じます。

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