IMMポジションが円ロングに転換
(1月5日) (12月29日) (増減)
カナダドル ▲60130 ▲60787 +657
スイスフラン 3620 3564 +56
ポンド ▲30496 ▲31022 +526
円 4103 ▲17226 +21329
ユーロ ▲160643 ▲160550 ▲93
NZドル 1579 ▲146 +1725
豪ドル ▲13761 ▲17545 +3784
1/5時点のIMMポジションは、ユーロ以外は増減がプラスと、基本はドル売り方向。
単純合計したドル買いポジションは、283712枚から255728枚へと、1割減りました。
その主役は「円」で、久々にロングに転換。
これは2012年10月以来ですから、いよいよアベノミクスの終焉か、という見出しを付けやすくなっています。
12月分の雇用統計は、NFPが29万2000人増、10・11月分も5万人の上方修正。
失業率は5.0%と変わらず。
グラフにしましたが、直近3ヶ月は25万人を越え、移動平均線も再び上向きです。
ただし、2015年全体の雇用の伸びは265万人で、2014年の319万人には届きませんでした。
最も注目されていた時間当たり賃金は、25.24ドルと前月の25.25ドルから僅かに減少。
前年比では2.5%増と、前月の2.3%からは伸びが拡大しています。
この結果を市場はどう見たかというと、金利は全般に下がりました。
昨年1%を越えた2年金利は、0.93%。
10年金利は、2.15→2.12%。
これを受けて、ドルは失速。
ドル円で見ると、強い雇用を受けて、118円80銭まで上昇したものの、結局そこから1円以上も下がって、117円40銭台。
ブルベア、どちらにも解釈できるような指標でしたが、金利は上昇せず、株価は下落し、ドル強気派が打ち負かされる展開でした。
CMEの金利先物取引では、年末の金利が今より0.4%ほど高い水準で取引されており、FRBは年2回の利上げも難しいという見方が支配的と思われます。
とはいえ、FRBが市場予想以上に利上げするリスクを市場は警戒しています。
一方で、世界第二位の経済大国は、誰も正確な姿が分からず、人民元が下げ足りない、ということだけが共通認識です。
今回の雇用統計は、FF金利の趨勢を益々予想しにくくした部分があり、投資家は株を売って債券に逃避しました。
そもそも、長く続いたゼロ金利政策の結果、株価はメタボ体質になっていましたから、ざっくり言うと、去年より2割くらいスリム化しないと戦えないぞ、と「新年の計」を定めた投資家が多いということでしょう。
『今年の相場は、厳しいか、かなり厳しいか、すごく厳しいか、のいずれかだ。どれにしても出っ張った腹では動くに動けない』
という焦りが、急速なポジションの縮小を生んでいます。
Comments
あけましておめでとうございます。
いつも参考にさせて頂いております。
雇用統計がよかったのにドル円が売られるとは不思議ですね。USDJPYの売りポジションを持っていたので、おもわず急騰場面では買い戻しそうになりました。
日銀が1月の決定会合でなにかせざるをえない状況、FRBが3月に利上げできない状況になりつつある気がして、見通しが難しくなりました。
とくに意見も見解もないのですが、難しい市場が続く中、今年もどうぞ貴重な記事をどうぞよろしくお願いいたします。
#昨年か一昨年にコメントさせて頂いた際も「難しい市場」と思っていた気がしており、実はこの「難しい市場」と思っている状況は、春山昇華氏の言うところの「マーケットには少し不安がある方が上がる」、シティの藤田氏のいうところの「バブルの前には必ず危機がある」という見方もできる気がして、ますます難しいと思う次第です。
Posted by: よしだ | January 11, 2016 04:01 PM
よしださん、あけましておめでとうございます。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
現在は、目の前の指標よりも構造的な問題を懸念する心理が支配的となっており、こういう時はドル安が癒やしになるのですが、人民元安が続く限り、相対的にはドル高になってしまうので、株が売られるといった流れかなと思います。
まあ、証券口座の数字はマイナスになるものの、こういう緊張感は嫌いではないです。
相場は常に、楽観と悲観の繰り返しです。
今後とも、よろしくお願いいたします。
Posted by: akazukin | January 11, 2016 08:39 PM